一年前のあの日、サンフランシスコに滞在中でした。

東日本大震災のニュースはNYタイムス、ウォールストリートジャーナルでも1面トップ記事と
して扱われ、CNNニュースでは原発事故に関して大きく取りあげられていました。
きもの カンタービレ♪

『きものカンタービレ♪』をみてくださっているという方から、原子力発電所がメルトダウンしている
可能性があるので、福島原子力発電所の上空近くを飛ぶサンフランシスコからの帰国便では
被爆するかもしれないから、帰国を遅らせたほうがいいというメールをいただいたり、
サンフランシスコ空港ではアメリカのテレビ局から取材され「あなた方は、あの国(放射能で汚染
された死の国という表現)に帰ってこれからどうやって暮らしていくつもりなのか?」と聞かれたり
しましたが、何ができるかわからないけれど、予定通り日本へ帰ることに迷いはなかったです。

幸い帰国便は通常通りに飛び(金属探知機でひっかかりきものが破かれる惨事はありましたが…)
リムジンバスもさほど遅れることなく無事に帰宅することができました。
この震災時に異国の地にいたことで、自分が日本人であることを再認識した気がいたします。

自粛ムード一色できもので出歩くことなど憚られる状況がつづき、私自身も染のきものに袖を通す
気持ちには中々なれなかったのですが、ただ自粛していても何も世の中に還元できませんので、
自分なりにできることをやりつつ通常生活を送り、きものブログも更新するようにいたしました。
この当時たくさんの方からメッセージをいただいたことが今でも励みになっています。

日本きもの学会の方が送ってくださった、きもの研究家の清田のり子先生が編集発行人をされている
『日本のきもの+ぷらす』VOL.2/NO.48の特集「衣(きもの)は甦る」
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
●塩浸かりになってしまった1000点以上のきものを「もうきものどころじゃない」とおっしゃる
方に「あきらめないで!!」と働きかけ、低コストで塩浸かりのきもののメンテナンスを受けている
呉服屋さんの話
●きものを解かずに水の中で丸洗いし被災地からの塩水だけでなく泥やヘドロをすったきものを
メンテナンスする京都の悉皆屋さんのお話
●被災してさらにきものへの愛着が深まった被災地の方々のお話
日本人の底力を知る特集になっています。(取材された方はもちろん取材した方もスゴイ熱意ですビックリマーク)

現代の生活において、きものはなくても困らないものですし、贅沢品かもしれません。
でも日本人にとってのきものは、ただ肌を隠すものでも寒さをしのぐためのものでもないはず。
今の形になった歴史と伝統だけでなく、製作に携わった多くの人や様々な人の想いを受け継いでいく
ものだと思います。

今日のきもの文化講座の丸山伸彦先生のお話の冒頭では、被災地への哀悼の意と、震災以来
東北ではきものを購入する人が増えているというお話がありました。
きものは日本人が色んなものを失いかけて気がつく大切なもののひとつなのかもしれません。

被災地の1日も早い復興と暖かい春の到来を願ってやみません。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

朝香沙都子拝

※日本きもの学会研修旅行、きもの文化講座のレポ、忘れないうちにあげていきます。
1日2回の更新でも追いつかない…(@_@)
展示会はこの週末に集中していてお伺いできなかったところも…。
これに懲りずにまたご案内くださいませm(_ _ )m


きもの カンタービレ♪ Facebookページ