きもの文化講座のつづきです。
この日は上巳の節句だったので、桃色の草木染めの紬に貝桶の帯でした。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

◎名古屋市博物館、学芸員の佐野尚子さんによるお話メモ

慶長16年(1611年)に名古屋でいとう呉服店として創業された松坂屋さんは、能装束や小袖をはじめ
裂地の収集に力を入れ、昭和6年(1931年)に染織参考館を設立されました。
それは松坂屋さんの呉服の特選催事である染織名作展に出品するような、最高のきものをつくる
ために収集されたものなのだそうです。

●まずは、小袖とは?というお話から。
ひとつは、上層階級では下着として大袖(広袖)の下着として着られていたものが、応仁の乱の頃から
縫いや箔、絞りで飾られ表着として着用されるようになった←表皮脱皮
もうひとつは、庶民の衣服であった

●小袖の形ときものとしての着方の変化のお話

●小袖の意匠について
松坂屋コレクションの資料をスライドで見ながらご説明いただきました。
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展覧会での資料表記の説明もありました。
きもの カンタービレ♪
佐野さんは鳥がお好きとのことで(私もですビックリマーク)鳥の意匠の紹介
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他に説明にあったもののほとんどが、こちらの図録に掲載されていました。
これは、平成20年夏にサントリー美術館であった「小袖~江戸のオートクチュール展」のもの。
この展覧会は素晴らしいもので、当時何回も見にいきました。
きもの カンタービレ♪
今回お話があったものの中から抜粋してご紹介。
流水杜若に燕模様振袖
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格子に幟旗模様小袖
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左◇垣梅に文字(萬歳楽)模様小袖 / 右◇紅葉に縞文字模様小袖
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※これらの小袖は現在、J.フロントリテイリング史料館の所蔵となっています。

●それから、なごや帯の考案者は大正時代に名古屋女学校の創始者である越原春子である
というのが定説ですが、松坂屋が考案者であるという記録もあるという話もございました。
越原春子考案、中村呉服店(後の名古屋三越)が名づけ親で売りにだしたという方が有名ですが、
どうなんでしょう?どちらも名古屋元呉服屋さんの百貨店さんですからどっちの説もありなのか。

●松坂屋コレクションを河上繁樹先生と藤井建三先生が解析する様子を収めたDVDも
見せていただきました。(タイトルを忘れてしまいました…)

松坂屋さんの染織参考館、京都染織デザイン研究所ともに今は閉鎖されています。
デザインの盗用を防ぐために外部公開を避けていたコレクションも、松坂屋特選呉服の業績不振、
今後も回復が望めないということで、約1万点の収蔵品は松坂屋美術館、名古屋市博物館に移し、
今後は一般公開していくのだそうです。
これまで、一般に公開されなかったことで、素晴らしい保存状態を保ってきた松坂屋コレクション
ですが、大丸との統合で素晴らしいコレクションが散逸されることのないように願ってます。

※講義中の撮影及び『きものカンタービレ♪』への掲載を主催者、講師の方より許可いただいております。


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