昨日の「真朱(まそほの夜明け)」つづきです。
ホテルオークラにて開催されている第3回名家の逸品展。
併催イベントとして「色の力」と題された記念講演会がありました。

真朱色に染まったホテルオークラ内メイプルルーム。
パネルに掛けられた布は、吉岡先生が染められたもの。
極細い透明感のあるインドの糸をつかって織られた布をつかっているのだそう。
きもの カンタービレ♪
※真朱(まそほ)とは、元は天然顔料の朱、代表的なものは辰砂(しんしゃ)のこと。
印鑑の朱肉の色といえばわかりやすいでしょうか。昔の朱印と落款につかわれています。

「真朱の夜明け」という会期名はホテルオークラの社長による命名だとか。
吉岡幸雄先生の著書にも「真朱は暁の色でもあり始まりの色である」とあり、
日本の再生と復興を願って開催されるイベントに相応しい美しいタイトルです。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

左◇染色家であり染織史家でもある吉岡幸雄先生。王朝のかさね色展をご参照ください。
現在NHKにてOA中「直伝 和の極意/華麗 優雅 にっぽんの色を染める」の講師も務められています。
右◇編集工学者の松岡正剛先生。エディトリアルディレクターの第一人者としてメディアへ多大な
影響を与えられている方。ご実家は京都の呉服屋さんだったのだそう。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

日本人がはじめてつくった色は、土から採取した顔料の色、真朱(まそほ)の赤。
赤は太陽が昇る色であり、火の色、そして人間の血の色でもある。
真朱は顔料なので染めるのではなくすりつぶして身体に纏うことからはじまっている。
魏志倭人伝にもでてくる邪馬台国では朱丹を身体に塗っているという記述があることから、
赤は魔よけであり力を誇示する色でもあったと。

赤に対する日本人の執着心から、多彩な赤を求めた。赤色に対する欲望
土の中から(朱・弁柄)、植物から(茜・紅花・蘇芳)、さらに虫からも(ラックカイガラムシ)など。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
様々な赤色と東大寺のお水取りでつかわれる吉岡先生の工房で手漉きで染められる和紙
(花びらは紅花、花芯はくちなしで染められています)でつくられた椿の花。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

日本人の自然感、季節の移ろいを写し取ろうとする感性が色にでる。
そもそも移ろいやすいものを写したものだから、天然染料で染めたものが色が変ったり
退色したりするのは当たり前ビックリマーク←これは強調して言いたいっと吉岡先生おっしゃっていました。

お手本を自然界に求め色に近づけたいという発想から生れたもの
繧繝・うんげん(薄いものも重ねていき濃いものを強調するグラデーションの原型)
薄様・うすよう(薄く漉かれた光を通す白い紙のこと、このことから白を襲ねる配色のこと)
匂い・におい(段々と色を濃くしていくグラデーションのこと)
村濃・むらご(アットランダムに強い色を入れる配色。村はムラになるの斑のこと)
裾濃・すそご(上を淡く、下にいくほど濃くなる配色のこと)

そして、松岡正剛先生が最後に
日本の心とは、襲ねて合わせてから揃えてそれを競う。
競うために合わせて、合わせるために競う。
そのことが“色”に潜んでいる。
そのことを染司よしおかの五代目(吉岡幸雄先生)が証明した。
とお話されたのがとても印象に残りました!

※撮影及び『きものカンタービレ♪』への掲載を主催者よりご許可いただいております。
とても充実した対談だったのでご紹介したのは、ほんの一部です。
この対談は後日DVDとして発売されるということだったので、詳細は控えさせていただきました。

第三回 名家の逸品展につきましては後ほどあげます。今週は大忙しです(@Д@;

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日本の色辞典


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