今年の1級対策セミナーは充実しておりました~合格
本を読んだだけではわかりにくい、素材と工程、織の技術、染の技法、仕立ての構造、
に重点をおいてくださったのはありがたいです。

9時半~17時まで、休憩を挟むとはいえビッチリ講義。
学生時代でもこんなに真剣に講義を聴いていなかったな~っと思います。
若い頃は自分が本当に知りたいことがわかっていなかったのかもしれません(゚ー゚;

ようやく単衣でも過ごせそうな気候になりました。
色づきはじめの紅葉の単衣小紋に橙色に木賊色の暈しの紗のなごや帯をコーディネート。
きもの カンタービレ♪

生谷吉男先生による「型友禅と工程」のお話メモ
きもの カンタービレ♪

まずは、現在が染色技法の転換期になりつつあるというお話から

化学染料の導入により、広瀬治助(昨年の1級問題になりました)に開発された写し友禅
日本の紗張りの型紙を見本に欧州で発展したスクリーン捺染、
そして今急速に増えているのが、パソコンとデザインソフトをつかったインクジェット捺染
※私個人としては、今のインクジェット捺染のきものに魅力は感じませんが…汗

1級の出題傾向としては、対比が多いとのことで、
染色技法の違い、各産地の特徴を把握することが重要なポイントひらめき電球だそうです。

通常のきものの化学染料は酸性染料ですが、インクジェット捺染は反応染料
堅牢度が高いのも特徴ですが、染め替えには向かないとのこと

手描き友禅でも、赤糸目友禅とゴム糸目友禅の異なるところ
例)赤糸目は糯米とぬかに蘇芳の染料を混ぜた糊、ゴム糸目は群青の顔料で着色した糊

写し友禅と摺り友禅の異なるところ
例)写し友禅は色糊をつかう、摺り友禅は色糊はつかわない

摺り友禅の特色としてあげられていたのは
●丸刷毛をつかって染料を生地に摺り込む
●型紙は“丸口(まるくち)”という工夫がされて模様続くようにしている
●紗張りの型紙はつかわない
きもの カンタービレ♪

型友禅の地染めの“板場しごき”と“濡れしごき(濡れむし)”の違い
※型友禅の地染めには、刷毛をつかって地色を染める“引き染め”と
色糊をつかう“しごき染め”があります

文明開化とともに開発された染色技法の開発者も知っておいたほうがよさそうです。
モスリン友禅を開発した人は、染色業者の堀川新三郎
近代ローケツ染めを開発した人は、京都高等工芸学校教授の鶴巻鶴一

スクリーン捺染は日本の紗張り型紙を見本にヨーロッパで発達しましたが、
昭和初期に京都高等工芸学校教授の田中隆吉が留学先から持ち帰り指導し、
京都の小野木二郎がスクリーン捺染法の実用化研究を進め業界に広がりました。
※京都高等工芸学校は現京都工芸繊維大学のこと

う~ん、知らなかったことがいっぱいあります(><;)

遠藤商店さんの遠藤明先生による「仕立て・悉皆」の話メモ
きもの カンタービレ♪
私のもっとも苦手とする仕立ての構造、寸法の割り出しステッチ

きものの墨打ち寸法の取り方について
背紋、胸紋の位置について
“くり越”のしかたについて
きもの カンタービレ♪

仕立ての際、胸が大きい人は抱き幅を広く衽下がりをあげる(小さくする)
腰周りの大きい人は、前幅を大きくし、合褄幅を4寸にする(合褄幅の標準寸法は3寸5分~4寸)

鯨尺でのきもの各部の標準寸法は覚えておいたほうが良いのかも。

刺繍の技法いくつか、裁縫の技法で、とめ結び、閂どめ(かんぬきどめ)など。

悉皆では、元柄を生かして柄伏せし行う加工例→吹雪加工、地色替え
元柄を生かし地色を変更する加工例→巻きぼかし

1級の練習問題であった、武具の飾りや払子に用いられた中国産のヤク(牛の仲間)の毛ですが、
ヤクの毛をあしらった兜は“唐の頭”といわれたそうです。
幕末戊辰戦争で、官軍がつかっていたのがわかりやすい例だそう。
白熊(はぐま)長州
黒熊(こぐま)薩摩
赤熊(しゃぐま)土佐
私は、しろくまと呼んでいました…(x_x;)

舞妓さんのくり越の話から、お正月、八朔、店だしは衿が3本出し、普段は2本
季節によっての装いのお話も
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

今回の先生方は皆さま京都の方のようでしたが、学術系の先生と呉服業界の先生
それぞれのお話がとても面白かったです~。

知らないこと多かったです。
まだまだ自分の知識が浅いなーっと自覚いたしました(-"-;A


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