お問い合わせが多い、9月のきものの着用時期のルール。
衣更えに関しましては今までにも何度か書いておりますが、重陽の節句の本日、
改めて書くことにいたします。

衣更えの習慣はかつては更衣といわれ平安時代の宮中行事として始まったとされています。
当初は中国の慣習に倣い旧暦の4月1日と10月1日に夏装束と冬装束の衣更えが行われていました。
装束は重ね着であり重ね色目には四季通用の雑と春夏秋冬があります。
重ね色目には、袷の表と裏の生地の配色を楽しむ重ね色目、五衣のように重ね着をしたときの
かさね色目、経糸と緯糸の色で表す織色の重ね色目、があります。

江戸時代の武家社会になると、端午の節句と重陽の節句を区切りに年4回行われるようになり、
旧暦4月1日~5月4日は袷(表地に裏のついているきもの)
旧暦5月5日~8月31日は帷子(裏のない麻織物)、単衣(裏をつけない絹,もしくは木綿のきもの)
旧暦9月1日~9月8日は袷(表地に裏のついているきもの)
旧暦9月9日~3月31日は綿入れ(表地と裏の間に薄綿をいれたもの)
綿入れの着用期間が長いことからも、現代よりも寒かったであろうことがわかります。

明治に入ると西洋化政策がすすみ、明治5年11月9日には改暦が発表され23日後の
明治5年12月3日を明治6年1月1日と改めて、グレゴリオ暦(太陽暦)に改暦されます。
明治政府は、役人.軍人.警察官の制服の衣替えを新暦の6月1日~9月30日を夏服、
10月1日~5月31日を冬服と制定しました。

現在のきものの衣更えの習慣は、明治政府の定めた洋服の衣替えに倣ったものです。
6月1日~30日、9月1日~30日は単衣(裏地のないきもの、絽ちりめん、紗あわせ)
7月1日~8月31日は薄物(麻、絽、紗、透ける織物)
10月1日~5月31日は袷(裏地のついているきもの)

ですが、温暖化のすすんだ平成の今どうなのでしょう?

いわゆる着用時期のルールでは9月1日から単衣のきものになりますが、
私は、重陽の節句までは日常着は薄物も着ることにしています。
重陽の節句後も、湿度が高い日には透け感の少ない薄物を着ることがございます。
熱帯雨林気候のようなスコールや雷雨がある昨今の9月ですので、臨機応変に対応することも
必要かと。雨コートを着ることも考えませんとね。

お問い合わせが多かったのが【9月の単衣にあわせる半衿、長襦袢と帯、帯あげ、帯〆】について。

着物業界の方でも意見が分かれるところのようですが、私は、
現代事情に沿って広く討論されつくられたと思われるきもの文化検定の公式教本と
染織研究家の木村孝先生のお考えに従いつつ、帯は文様も考慮しながら自分なりにあわせています。
着用時期のルールはTPOとは違って、しきたりではなくあくまでも目安として考えておりますビックリマーク

【半衿】絽塩瀬、絽ちりめん
【長襦袢】絽、化繊の爽竹
【帯】絽、絽綴、紗、紗紬、絽塩瀬、絽ちりめん(中旬以降は、綴、塩瀬をあわせることも)
【帯あげ】絽、紗
【帯〆】レースのものは避けます

季節に先駆けることを良しとしましょうということからか、
「6月の単衣には絽の小物や帯を合わせても9月の単衣には袷のものをつかうものです!っ」と
断言される方もいらっしゃいます。どちらかというと従来の主流の考え方はこちらのようです。
それはそれで良いと思いますし、私もお茶会では社中のルールに従うことにしております。
ですが、季節に先駆けることによって暑くて着ることができないのでは…。うーん(ノ_-。)

「きものは暑くて着られないからお洋服で」「きもののルールは面倒だからお洋服で」
私の周辺のきもの好きの方々からも度々お聞きするお言葉…。
きものは単なる衣服なのに、日常でも明治以来の従来の考えやチェックが厳しい周りの
目線を気にしすぎて、きもの好きでありながら着ないという選択をしてしまうのは何とも勿体無い!

時代は刻一刻と移り気候も変わりつつあります。
ひとりでも多くの方がきものを着るようになられて、それぞれが今にあったきものの着方を
提唱していけるようになることを願っております。それにはやっぱりきものを着ませんとね('-^*)/

二十四節気の白露の昨日のコーディネート。
白露とは、秋分の15日前、夜の気温が下がり草葉におりた朝露が白く光ること。

菊に青楓と竹垣の絽小紋に月に雁の織りだされたアンティークの紗の帯をコーディネート。
絽は濃い地色だとかえって透け感が強調されるので、生成色など薄い色を選びます。
文様や意匠には秋らしいものを。日傘の刺繍は月にみえなくもない?
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
有職文化研究所の講義の後、山種美術館へサーチ
川端龍子「黒潮」の屏風がどーしても見たかったのです。躍動感ある飛び魚でした目
顔料をつかった独特の色彩は屏風絵としては異色ですが夏らしくて爽快。
会場では有職文化研究所の講義でご一緒した方と偶然ばったりお会いいたしました。
好きなものや行動動線って重なること多いですよねドキドキ

美術館のカフェでは所蔵品を模した生菓子もあります。私はチーズケーキをチョイス。
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪
竹内栖鳳「鴨雛」のソーイングセットをお土産に裁縫
きもの カンタービレ♪きもの カンタービレ♪

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