娘の好きなようにさせようと放っておいた。

以前、娘は薬品会社に勤めていたこともあり、知り合いのつてで大学病院でセカンドオピニオンを受けさせたり、病状が軽くなるためならと奔走したらしい。

胸に溜めずに話せるよう私は堪えて聞き役に徹した。

そして分かってきたこと。
彼には10年ほど付き合って同居している、というより世話になった夫婦同然の女性がいて彼女の子供たちもすでに自立しているとのこと。

医療保険にも入っているので金銭的には問題ないらしいこと。

ならば娘がなんだかんだ動く必要もないのにその彼女(ナオミというらしい)が今度は娘に色々相談してくる。

いい加減にしろー!

母として父親役までしながら一人前にした娘をなんだと思っているんだ!
もちろん、娘も娘だ!でも私の気持ちを考えるゆとりはなかったのだろう。

グッと気持ちを抑えた。

心の中では正直、元夫がこの世から早く消えてほしいとさえ思ったが‥。
ここまで鬼のようになってしまう自分が怖かった。
現実に彼が息を引き取ったら自分自身の気持ちの変化はどんなものか。
想像できなかった。
もしかしたら「かわいそうに」なんて涙の一つも落としたりしてと考えた。

が、現実になったとき
「やっと、この世からいなくなってくれた」と呟いた。
そう、恐ろしいことに彼が消えることを心から願っていたんだ。

その思いを娘に悟られまいとして理解ある母親のフリをし続けてきたことにきづいた。