カール・ヒルティ(Carl Hilty)の『幸福論』は、

いわゆる「三大幸福論」の一つとしてアラン、ラッセルと並び著名です。


1902年に初版が刊行されました。ドイツ語の正式名称は “Glück” です。
ヒルティの『幸福論』は、幸福を追求するための具体的な方法を示した

実践的な人生哲学書です。
以下にその特徴をいくつか挙げます:

■実践的なアプローチ:
ヒルティは、幸福が抽象的な概念ではなく、

具体的な行動によって実現されると考えました。
そのため、日々の生活の中で実践できる具体的な方法が数多く提示されています。


■内面的な成長と道徳的充実:
幸福は外部の状況よりも、個人の精神的な態度に依存するとし、

日々の小さな喜びを見つけ、感謝の心を持つことが重要であると強調しています。
 

■キリスト教信仰の影響:
ヒルティの著作は、キリスト教信仰に基づいており、

聖書の言葉を頻繁に引用しています。
彼は、神への揺るぎない信頼と愛による忍耐を自身の経験を通じて述べています。
 

■仕事の重要性:
ヒルティは、仕事の充実こそが幸福の源泉であるとし、

仕事術や時間術、習慣論などの現代でも通用する技術を説いています。

ヒルティの『幸福論』は、単なる倫理的な説教ではなく、

実践的なガイドとして多くの人々に影響を与えています。

【関連記事】

・ヒルティ『幸福論』「未来は働く人のものであり、社会の主人はいかなる時代にも常に勤労である」

 

・我を忘れて自分の仕事に完全に没頭することのできる働き人は、最も幸福である

 

 

・ヒルティ「人を幸福にするのは仕事の種類ではなく、創造と成功とのよろこびである」


カール・ヒルティの『幸福論』は日本でも多くの出版社から刊行されています。以下にいくつかの主要な出版実績を挙げます:

岩波書店: 1993年に「幸福論 1 (ワイド版岩波文庫 112)」として出版。
白水社: 2012年に「ヒルティ 幸福論 I(新装版)」として出版。
三笠書房: 2018年に「超訳 ヒルティの幸福論」として出版。