ヘミングウェイはシャトー・マルゴーをこよなく愛し、自分の孫娘にその名「マーゴ」を与えた

ことは有名な話ですね。シャトー・マルゴーのように女性らしくすばらしい魅力を備えた人間に育つようにと願ってのことと云われています。長じて彼女はマーゴ・ヘミングウェイとして女優となったのですが(孫・ヘミングウェイではなかったのね、寒くてスミマセン)、自分の名前の由来について彼女は祖父であるヘミングウェイに尋ねたことはあったのでしょうか。

 孫娘の名としたのは、マルゴーが女性の名前としてもふさわしい、語感、言葉の響きを持っていたということもあるでしょう。ラフィット、ラトゥール、オー・ブリオンではちょっとねえ、ムートンでは羊になっちゃうし…。

 さしずめ日本であれば「ねえ、おじいちゃん、なぜ私の名前、真澄(ますみ)と名付けたの?」「それはじゃな、わしが毎日飲んでいるこの酒「ドン!!(「真澄」の一升瓶を置く音)」からとったんじゃ!いい名前じゃろう」孫娘「……」というやりとりになるのでしょうか。

 「真澄」であれば娘の名前としていいなと思いますが、大関、月桂冠では合わないですね。

 女性の名前としても合いそうな日本酒の銘柄というと、「舞」「誠」「可愛」「寿」「櫻」「桜子」「千鳥」「千代」「美寿々」「瑞穂」「弥生」「ゆり」「君千代(これは芸者さんみたいな名ですね。芸者さんの名前みたいなお酒はこれ以外にもたくさんあります)」といったところでしょうか。以上日本酒銘柄辞典で調べてみました。

 それにしても随分日本酒の銘柄はたくさんあって、あっと驚くような名前もありますよ。

 ちなみに日本酒の名前で一番多い名は、「山」だそうです。確かに八海山、立山、男山、麒麟山など、すぐ思い浮かびますものね。ベスト10は以下のような順位となっています。

1位 『山』(241銘柄で使用)

2位 『鶴』(203銘柄で使用)

3位 『正』(193銘柄で使用)

4位 『宗』(182銘柄で使用)

5位 『菊』(161銘柄で使用)

6位 『大』(145銘柄で使用)

7位 『金』(140銘柄で使用)

8位 『泉』(137銘柄で使用)

9位 『乃』(131銘柄で使用)

10位 『白』(127銘柄で使用)

(出典;日本酒雑学語典「お酒の名前ベスト50」,月桂冠さんのHPより。http://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/encyclopedia/index.html )


 こう並べると、日本では酒の名前にもアニミズムを感じます。自然、花鳥風月からとったものが多いですね。

 いつのまにか、ヘミングウェイとシャトー・マルゴーから日本酒の銘柄談義になってしまいました。

 さて、ヘミングウェイは、ワインだけでなくカクテルにも逸話があるようです。私はカクテルは素人ですが、

「午後の死(Death in the Afternoon)」というカクテルは、ヘミングウェイ考案だそうです。

 中身がすごい。シャンパンベースというところは私の好みにも合うのですが、なんと、黒色火薬をシャンパンで割るという(あまりに奇抜なので、今はアブサン、ペルノーで代用されているそうですが)もの。


うーん、さすが、ハードボイルドなカクテルですね。



Miamibeachにて

今は日曜の午後、これから楽器の練習しながら、シャンパンをあけることにします。