真鍋優次郎のワインレポート

真鍋優次郎のワインレポート

趣味はワイン収集と食べ歩きの東京住まい30代コンサル男子☀️フランスワイン専門です✨

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価格とクオリティを考慮したうえで、納得ができる泡を見つけることは容易ではない。特にシャンパーニュ以外は極めて困難である。相当数の泡を飲んできたが、シャンパーニュ以外でリピートする気になった泡はほとんどない。今や2000円ほどで購入できるシャンパーニュがたくさんある中で、高額なフランチャコルタやカヴァなどをなぜ購入するのかと問われると、いささか答えに窮するだろう。勘違いしないでほしいのはシャンパーニュが絶対というわけではない。3000円ほどで同価格帯のシャンパーニュを打ち負かしてしまうスプマンテやアメリカの泡があることや、1000円ほどであっと驚かされるカヴァがあることも知っている。だが、そんな泡と出会うことは滅多にない。いいワインが圧倒的に少ないのと同じように。最近は世界各国の泡を飲んでいたが、やはりいい出会いはなかった。高額を払ってまで飲んだフランチャコルタには尽く裏切られ、美味しいゼクトを発見したが6000円もするとなるとリピートには繋がらなかった。

 

そして今回は原点回帰を兼ねて、某レストランで開けたのがブルーノ・パイヤール 1995であった。たしか1995,1996は5年ほど前まで7000円程度で買えたのだが、最近では倍以上に価格が高騰している。価格が価格なだけに半信半疑であったが、グラスに注がれた瞬間に、おもわず身構えてしまった。

 

 

 

 

 

 

グラスから緊張感が伝わってくるゴージャスな黄金色。りんごにアプリコット、モカにアーモンド、オリエンタルスパイスなど、複雑なアロマが溢れでている。口に含めば黄金に輝く林檎の果実のように、旨味の塊が押し寄せ、おもわず笑みがこぼれてしまう。世界各国の泡を飲み続け意気阻喪したが、気分が一新したようである。
やはり自分はシャンパーニュが好きだと原点回帰した夜であった。

ブルーノ・パイヤール 1995 デゴルジュ後10年
参考価格:14,000円
(※現在は2万円~3万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:94点

 
 
 

この時期に飲むデイリーな泡は、気取らずに楽しめて、冬の料理にも負けないコクのある、お手頃価格のシャンパーニュがいいものだ。今や2000円ほどで購入できるシャンパーニュがたくさんあることに感謝したい。そして記念日にはジャック・セロスやクリュッグ、あわよくばアラン・ロベールなど…冬のジビエにもマリアージュでき、記念日をゴージャスに演出してくれるシャンパーニュを飲みたいものだ。そんな記念日に飲んだのが今回のクリュッグ 1996だった。

 

 

 

万華鏡のごとく溢れ出すドラマティクなアロマと膨大な酸から卓越した生命力を感じる。軽いモカにカラメル、アーモンド、蜂蜜、アプリコット、アジアンスパイス、18年経過してなおピークへの折り返し地点にも到達していない印象だ。このクリュッグ1996は恐ろしいほど長命であり、ゴージャスなヴィンテージだ。現時点で判断できることはピークには程遠く、あと20-30年は熟成を重ねるということ。今時点で評価するのが恐れ多く感じてしまう。
偉大なシャンパーニュのみが織り成せる壮大なスケールに、溺れることができた至福の記念日であった。

クリュッグ 1996
参考価格:27,000円
(※現在は6万円~9万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:97点

 
 

酸のコントロールに対する思想や価値観は、シャンパーニュの生産者において「マロラクティック発酵」を行うか否かで大きく分かれている。ややこしいことにロゼの場合はコレに、タンニンのコントロール「アッサンブラージュ法」か「マセラシオン法」の選択が迫られる。「アッサンブラージュ法」はいわゆるブレンドである。アッサンブラージュの過程で赤ワインを混ぜて発酵させる。「マセラシオン法」はセニエと呼ばれ、破砕・圧搾の過程で果皮ごと漬け込んでロゼ色の色素を抽出してアルコール発酵させる。ただ、愛飲者からすればどちらにせよ、美味しいシャンパーニュであれば思想や価値観を打ち破って、否が応でも素直に受け入れられるものだ。

 

 

この「グラン・ダネ ロゼ」は「グラン・ダネ」をベースに、ボランジェがアイ村に所有する畑「コート・オーザンファン」を8~10%加えて造られている。

 

 

ベリー系の凝縮した果実味と、オレンジピールのブランデー漬け、オリエンタルスパイスなど、複雑なアロマがドラマチックに構成されている。口の中では最上級のピノ・ノワールの厚みを感じ、グラマラスなボディに思わず酔いしれてしまう。「グラン・ダネ ロゼ」は数あるロゼの中で一種の完成形で間違いないだろう。
ロゼの醍醐味を味わえた至福の日であった。

ボランジェ グラン・ダネ ロゼ 1999
参考価格:16,000円
(※現在は2.5万円~3万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:96点

 
先日のジェローム・プレヴォーに心を鷲掴みにされ、ロゼ熱に火がついたようだ。当ブログのコンセプトに合わないロゼがほとんどであったため、数本しかレポートできないが、ここ2ヶ月はロゼ漬けであった。
毎度のことながら、ロゼ熱が再発すると博打をしている感覚に襲われる。過去の経験から高品質なロゼには滅多に出会えない。しかもロゼは製造工程の関係から高価だ。
また、シャンパーニュ(白)は生産者・産地・収穫年などの知識から、ある程度予想がつくが、そのような知識はロゼに精通していない。優秀な生産者だからといって、ロゼが高品質とは限らない。むしろ高品質なロゼを生み出す生産者はほんの一握りだ。
ハイリスク・ローリターンの博打要素が多いのがロゼである。


今回はヴェット・エ・ソルベのロゼである。ロットは2005年で、
デゴルジュ後6年経過している。当主はジェローム・プロヴォーと同じく、アンセルム・セロスのもとでシャンパーニュを学んだベルトラン・ゴトロ。
ヴェット・エ・ソルベの意味は、「ヴェット」がキンメリジャン土壌の畑名、「ソルベ」がポートランディアン土壌の畑名である。

元気いっぱいの泡にセニエらしい濃いめのロゼ色。チェリーやフランボワーズなどベリー系のアロマが支配的で、りんごの皮のようなニュアンスもあるが、アロマ全体が小粒である。
口に残る苦味が強く4口ほど飲んでからグラスに手が伸びなくなる。ミネラルや生命力を感じないことから閉じ期ではなく、2005年の出来がそうなのであろう。
ダルジルやフィデルのような生命力やインパクトはなかった。これだからロゼは面白いと落胆した夜であった。

ヴェット・エ・ソルベ セニエ・ド・ソルベ デゴルジュ後6年
参考価格:11,000円
個人評価:85点

ピノ・ムニエが単一品種として新境地を切り開けたのはジェローム・プレヴォーの功績かもしれない。それまでピノ・ムニエ100%と聞くとフランソワ・ベデルのイメージが強かったが、個人的には高評価し難かった。エグリ・ウーリエの「ヴィーニュ・ド・ヴリニー」はさすがと思わせる品質であるが、補助品種のイメージが拭い切れなかった。近年ではジャクソンのリュー・ディー・シリーズ「レ・クロ」がピノ・ムニエ100%で商品化され話題となったのは記憶に新しい。だが、今やピノ・ムニエというとジェローム・プレヴォーの右に出るものはいないといっても過言ではない。
それほどまでに彼の造るピノ・ムニエは補助品種の概念を打ち砕いたのだ。

 

 

 

 

今回はそのジェローム・プレヴォーが造るピノ・ムニエ100%のロゼである。ロットは2008年で、デゴルジュは5年前の2009年。オレンジ気味かかった深い色合いに繊細な泡がふつふつとあがる程度。オレンジやリンゴの皮のアロマが心地よく、ジャスミンや軽いアジアンスパイスなど複雑な要素と、芯のあるストラクチャーに心奪われていく。時間の経過とともに自己主張が強くなり、こちらから近づかなくても、ピノ・ムニエの生命力がグラスから溢れ出てくるのがわかる。

 

 

今回はデゴルジュ後5年経過しているため少しこなれた印象であるが、
まだまだ若々しく、あと2~3年置かないとピークが掴めないだろう。ピノ・ムニエのロゼというと半信半疑であったが、実際蓋を開けてみると、ただただ関心するばかりであった。
ジェローム・プレヴォーはこのロゼで、ピノ・ムニエの更なる境地を切り開いたことだろう。
 
 

ジェローム・プレヴォー ファク・シミール・ロゼ 2008 (デゴルジュマン後5年)
参考価格:16,000円
(※現在は6万円~9万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:94点

 
 
軍人であったテタンジェ社の創業者ピエール・シャルル・テタンジェが、第一次世界大戦中に駐留したシャンパーニュ地方の城「シャトー・ラ・マルケットリー」に惚れ込み、戦後になってこの城を買取り住むようになった。シャンパーニュ地方に住むようになったピエール・シャルル・テタンジェは、やがてシャンパーニュに魅了され、この城の元所有者であったメゾン・フルノー社を買収し、1930年からテタンジェとしてシャンパン造りに乗り出した。
「シャンパーニュ伯爵」を意味する「コント・ド・シャンパーニュ」は、1952年にテタンジェのフラッグ・シップとして製造を開始した。当時主流であったブレンドの甘口スタイルを離れ、グラン・クリュ(コート・デ・ブラン)の単一品種(シャルドネ)のみを使用したブリュットスタイルとして考案された。

 

 

シャンパーニュにとって2000年は難解なヴィンテージである。ネゴシアン、レコルタンに限らず2000年のフラッグシップをリリースしている作り手は多くいる。葡萄の出来自体はなかなかのものだったのだろう。だが、2000年のシャルドネは派手さがなく、閉塞感が漂っているものが多い。フラッグ・シップに対する期待からか、落胆や失望させられることが非常に多いヴィンテージでもある。

 

 

輝きある綺麗な淡いイエロー。繊細な泡が豊かに立ち上がっている。ライムやシトラス、レモンピールに白い花々、微かなブリュオッシュ香、小粒な要素を多く含んでいるが、エレガントと表現するには程遠い。上質なシャンパーニュにある溢れ出すような香りはなく、終始おとなしさが際立った。味わいとしてはテタンジェらしいふくらみある綺麗な味わいではあったが、このヴィンテージのコント・ド・シャンパーニュを購入するなら、安定した質の高さを認識させられるノクターンとプレリュードをセットで購入したほうが遥かに楽しめる。
残念ながら、テタンジェの宝石でさせ失望に満ちたヴィンテージであった。
 
 

テタンジェ コント・ド・シャンパーニュ 2000
参考価格:17,000円
(※現在は2.5万円~3万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:89点

 
 
メゾンは1849年にポル・ロジェ氏(当時19歳)によって設立された。現在は100haの自社畑を所有しているおり、その大半はコート・デ・ブラン地区に位置している。また、エペルネで最も深い地下セラー(深さ約35m/全長7km)を保有していることも有名である。

「サー・ウィンストン・チャーチル」はポル・ロジェのフラッグシップであり、
その名のとおり、元イギリス首相「ウィンストン・チャーチル」の名前からネーミングされた。チャーチル氏は自分の愛馬に「ポル・ロジェ号」と名付けるほどポル・ロジェを好み、ポル・ロジェのシャンパーニュを常時数十ケースもストックしていたそうだ。チャーチル氏のオマージュとして没後10年に造られたのが「サー・ウィンストン・チャーチル」である。

 

 

熟成の遅さを感じる元気いっぱいの泡に、ブリュオッシュや軽いバター、アプリコット、シトラスなどの柑橘系に、軽いアジアンスパイスなどの複雑なアロマ、飲み口はピノ・ノワールの骨格がはっきりわかるほどの厚みと力強さを感るが、余韻は青りんごやシトラスが支配的なため上品で心地よい。ボランジェに類似する点がいくつかあるが、ボランジェほど熟成感がないため、親しみやすくピュアな印象である。
夏の終わりを演出してくれた上品なシャンパーニュであった。
 
 

ポル・ロジェ サー・ウィンストン・チャーチル 1999
参考価格:1,7000円
(※現在は2.5万円~3万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:92点

 
 
近年飲む機会が多いシャンパーニュだが、自分自身でドンペリのロゼを購入するなら、通常のドンペリ(ホワイト)を2本購入するだろう。理由としてはこのシャンパーニュが持つ独特の香りがあまり好みでないためだ。また、1度も価格以上の期待に答えてくれたことはない因縁のシャンパーニュでもある。

琥珀色に輝く深い色合いが大人な雰因気を演出している。ドンペリ・ロゼを飲む度に感じる独特のカラメル香やスモーキーな樽香が支配的で、ブラックチェリーやオレンジ、アジアンスパイスやカカオなどの複雑なアロマに、豊富なコク、若干の苦味を感じる。

毎度のことながら、ドンペリ・ロゼはスモーキーな樽香が強いせいか、癖のある風味を大いに感じる。それは、若いモンラッシェやムルソーによくある樽香に少し似ている。また、スコッチにあるピート香や浜風による海の香りにも近いものも感じる。
この香りは飲む者によってはエキゾチックな組み合わせで、大変魅力的なシャンパーニュであるかもしれない。ただ、私の嗅覚と味覚を刺激するシャンパーニュではなかった。
あと20年ほど寝かせてたら・・・と好奇心をそそられるシャンパーニュではあった。

ドン・ペリニヨン ロゼ 2000
参考価格:34,000円
個人評価:90点

現在ルイ・ロデレールの傘下となっているドゥーツは、1838年にウィリアム・ドゥーツとピエール・ゲルダーマンによりアイ村に設立された。ドゥーツの自社畑は格付平均97%(ピノノワ-ルのみだと99%)を誇る42haを所有し、自社必要量の35%を賄っている。

女性をターゲット層として「愛のドゥーツ」とネーミングされた「アムール・ド・ドゥーツ」はファースト・ヴィンテージが1993年になる。現在ではアメリカのセレブ御用達とまで言われている。愛飲している代表的なセレブと言えば歌手のマドンナが最も有名だろう。

この「アムール・ド・ドゥーツ」はコート・ド・ブラン地区の2つの畑(メニル・シュール・オジェ、アヴィズ)と、モンターニュ・ド・ランス地区の1つの畑(ヴィレ・マルメリ)のシャルドネから造られている。昨年正月に同シャンパーニュの2000年を飲む機会があったが、不順な天候に見舞われたヴィンテージであることから果実そのものが弱々しく感じ、年始早々残念な思いをした記憶がある。だが、今回は個人的に好みなヴィンテージのため期待が膨む。

綺麗な黄金色に繊細で若々しさを感じる泡立ち。口いっぱいに広がる蜂蜜や柑橘系フルーツの複雑なアロマ、口当たりもムースのように柔らかい。女性好みにうまくまとめられており、果実そのものの力強さが全面に出ているので、2000年にはなかったストラクチャーもしっかり感じ取れる。
また毎度のことながら、ミュズレがネックレスになるチャーミングさに密かな喜びを感じる。
もし、レストランで見かける機会があったら是非とも異性と飲んでほしい「愛の演出家」なるシャンパーニュであった。

ドゥーツ アムール・ド・ドゥーツ 1999
参考価格:19,000円
個人評価:92点

ドゥーツ アムール・ド・ドゥーツ 2000
参考価格:16,000円
個人評価:88点

「昔々あるところに... (イレテ・チュヌ・フォア )」とネーミングされ、あまりにも優美かつ妖艶で異次元へ誘うそのワインはジャック・セロスのラタフィアである。近年レストランなどでよく見かけるエグリ・ウーリエやアンリ・ジローなど優れたラタフィアもあるが、ジャック・セロスのラタフィアは、ラタフィアであって、ラタフィアでない傑出したラタフィアである。

 

古酒かと思えるほどの淡い赤銅色をしており、熟成したモカや黒糖、ソーテルヌ(セミヨン)かと疑ってしまうほどの蜂蜜・アプリコットの複雑なアロマも多く含まれている。時間とともにどんどん妖艶な香りに変化していき、永遠とも思える長い余韻が続く。非常にエレガントかつ言葉を失ってしまうほど妖艶である。

 

 

正直ラタフィアというワインにこれほどの境地を求めていなかったため、グラスを口に近づけた瞬間驚きと混乱で頭がいっぱいになった。まさにラベルの絵のような状態である。アンセルム・セロスはこのラタフィアで飲んだ者をおとぎの世界へでも誘うつもりなのだろうか。
この世で最高のデザートワインはソーテルヌのシャトー・イケムであることに異論はない。ただ、イケムとは別のベクトルを持ち、イケムと双璧を成し得るワインが存在したことに、今回は只々感銘を受けるばかりであった。
 
 

ジャック・セロス ラタフィア (イレテ・チュヌ・フォア )
参考価格:42,000円
(※現在は10万円まで高騰 2022年12月追記)
個人評価:96点