結婚したくないと考える人が、また増えているらしいです。。。

 

 

最近、ニュースで見たのですが、

国立社会保障人口問題研究所の調査によると、

「一生結婚するつもりはない」と考えるひとが、男女とも、

過去最高になったらしいんですね。

 

 

そのいっぽうで、

「いずれは結婚するつもりだ」と考えているひとは

過去最少になったらしいです。

 

 

大ざっぱに言うと、

2割弱くらいは結婚する意思がなくて、

8割強くらいは、いずれは結婚するつもりだ、

と考えているみたいなんですね。

 

 

この調査結果を聞いて、

なーんだ、8割くらいは結婚の意思があるんじゃないか、

ということは、ほとんどのひとは結婚するつもりなんだな、

と考えて、「安心」するひとは少なくないと思うんです。

 

 

でも、これには注意が必要です。

 

 

このアンケート、じつは、

①一生結婚するつもりはない

②いずれは結婚するつもり

の2択なんですよね。

 

 

この2通りしか選択肢がないんです。

 

 

考えてみればわかると思うんですが

現段階で、一生結婚するつもりはない、なんて、

はるか未来のことまで確定的に決めているひとなんて、

いったい、どれくらいいるでしょうか?

 

 

そこまで強い決意を持っているひとは、たぶん、

ほとんどいないでしょう。

 

 

実際、この調査でも、

一生結婚するつもりはない、と決めているひとは

おおよそ2割弱しかいないという結果がでています。

 

 

ということは、大半のひとはそこまで強い

非婚の決意は持っていないことになります。

 

 

ところが、この調査には選択肢が2つしかありません。

 

 

なので、非婚の決意を持っていないひとは

自動的に「いずれは結婚するつもり」を選択することになり、

その結果、数字上は結婚に意欲的な人がたくさんいるかのように

見えてしまうんですね。

 

 

でもこれは、そもそも選択肢の作り方がおかしいのです。

 

 

この世の中には、

①一生結婚するつもりはない

②いずれは結婚するつもり

という人以外にも、

③現段階では決めていない、べつにどっちでもいい

という人がいると思うんですよね。

 

 

かりに、この③の選択肢を加えると、

調査の結果は大きく変わってくるのではないでしょうか。

 

 

自分はそう思うんですよね。

 

 

でも、この世の中には、

③のような選択肢を加えることは都合が悪い、

と考える人間もいるかもしれません。

 

 

なんで都合が悪いのか、というと、

もし③のような選択肢を加えてしまうと、

おそらく、少なくない人間が

②の選択肢を選ばずに③の選択肢を選ぶように

なってしまうからです。

 

 

もう一度、選択肢を見てみましょう。

 

 

①一生結婚するつもりはない、という選択肢を選んだひとは、

かなり確定的で強固な非婚の意思を持っています。

 

この層は、たぶん意見を変えることはあまりなく、

不動でしょう。

 

 

ところが、

②いずれは結婚するつもり、という選択肢を選んだ人の中には、

現段階ではべつに決めていないけれど、

一生結婚するつもりがない、なんていうほどの固い気持ちもないしなあ、、、

というわけで、

消去法で②を選択した層がふくまれているんですね。

 

 

ここに、③現段階ではべつに決めていない、どっちでもいい、

という選択肢があらたに加わると、

消去法で②を選んでいたひとたちが、

今度は③の選択肢を選ぶようになります。

 

 

その結果、どういうことが起こるかというと、

②いずれは結婚するつもり

という選択肢を選ぶ人間の数が目減りしてしまうんですよ。

 

 

③現段階ではべつに決めていない、どっちでもいい、

という選択肢は、

①一生結婚するつもりはない

という選択肢をえらぶ人間の数を目減りさせないのですが、

②いずれは結婚するつもり

という選択肢をえらぶ人間の数を目減りさせてしまうんです。

 

 

そうすると、

いずれは結婚するつもり、という、

結婚に積極的な意欲を持っているかに見える回答が減ってしまい、

結果、

結婚に積極的な人間はかならずしもそんなに多くはない、

という事実が調査をつうじて浮かび上がってしまう

危険性があるのですね。

 

 

それはある意味では本当に危険なことであり、

その事態を都合が悪い、と考えるひとが存在することも

やむをえないことかもしれません。

 

 

少なくない人間には、

他人と同調して自分の行動を決める、

世の中の他人の動きを見て判断する、

という性質があります。

 

 

結婚に意欲的な人間が世の中の大多数だ、

という調査結果をみたら

自分も結婚しないとまずいよな、と考えるでしょう。

 

 

しかし、

必ずしも世の中の大多数が結婚に意欲的なわけでもない、

なんていう調査結果がでたら、

ああ、それならべつに結婚しなくても大丈夫だな、

なんて考えて、

非婚を結果的に選択することになってしまう人間も

でてくるのではないでしょうか。

 

 

そうなってきた場合には、この調査は、

たんに人々の意識を明らかにして提示する、ということを超えて、

ひとびとを非婚へといざなうという効果を

持ってしまうことになります。

 

 

そのような事態をまずいと考えるひとが、

おそらくは上のほうにいるのではないでしょうか。

 

 

なので、この調査には

③現段階ではべつに決めていない、どっちでもいい

という選択肢を入れるわけにはいかないのです。

 

 

そして、2択の選択肢を前にして

多くの人間が②いずれは結婚するつもり、という選択肢を選ぶことも、

その結果、ほとんどの人が結婚に意欲的じゃないか、

とみんなが考えて「安堵」することも、

言ってみれば全部、出来レースなのです。

 

 

そんな出来レースのはずなのに、

選択肢に周到に小細工をほどこしてあるはずなのに、

それにもかかわらず、選びにくい選択肢であるにもかかわらず、

今回、①一生結婚するつもりはない、

という選択肢を選んだひとが過去最高に増えた、

ということの意味は、非常に重いと思います。