一気に読んでしまいました。いやあ、面白かった!!「面白いけど長い」「台北野球倶楽部の殺人の短さが懐かしい」とかほざいていた昨日の自分を殴ってやりたい。
途中息切れしたあとの後半!どんどん引き込まれてそこからはもう、ノンストップ。謎解きの面白さだけでなく、主人公の目を通して語られる独特の台湾論が、台湾社会や台湾人に対するシニカルだけど愛のあるリアルな分析と描写が、本当に秀逸。台湾語もスラングも満載で、ザ・タイワンな一冊です。
前半のちょっと長すぎ、冗長のように思われた主人公の自分語りが、後半の連続殺人事件を解決する鍵だったとは!! 深い!深すぎる!精神疾患と宗教、サイコパスとサイコシス、警察、マスコミ、世論の問題…現代社会が抱える病や痛みについて、いやもう、色々なことを考えさせられるミステリーでした。
そしてこれは、翻訳の船山さんが素晴らしい!彼女の、台湾の社会や文化や言語に対する深い理解がなかったら、日本の読者はこれほど楽しむことはできないはず。他の翻訳作品も読んでみたくなりました。