朱天文の『荒人手記』の余韻に浸る週末 | 台湾華語と台湾語、 ときどき台湾ひとり旅

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朱天文の『荒人手記』、読み終わった!!結論から言うと……




いやあ、おもしろかった!


同性愛者である「おれ」の、回想、手記という形をとった物語。幼馴染アーヤオの最期を看取った「今」と、手記を書く理由でもある「過去」の思い出が、複雑に交差しながら進んでいく。


かなり変わった構成で、随所でこちらの知識量を試す戦いに挑まれる(笑)。この戦いには負け続けたが、決してわかりにくい文体ではない。その証拠にきんさんぎんさん、キョンキョン、スサノオノミコト、小津安二郎etc、知っていることならすんなり理解できるからだ(アーヤオが日台ダブル、またこの小説自身が胡蘭成(日本で生活)へのオマージュということもあって、日本に関する話題もとても多い)。


そして全体を貫く物語のテーマ&ストーリーは、至ってシンプルでロジカル。人物像もはっきり描かれていてわかりやすい。


同性愛者として表舞台で戦い奔放に生き最後はエイズで亡くなったアーヤオと、そのようなアーヤオを友人として家族としてプラトニックな恋人として深く愛しながらも静かで穏やかで「普通」の幸福を求めた「おれ」…。


アーヤオとの関係以外にも「おれ」のいくつかの恋愛が語られる。こっぴどい失恋をした傑、「結婚」し永遠の愛を近いあった永桔、通りすがりの男たち。


女もいる。アーヤオのお母さん(日本人)、「おれ」の妹、「おれ」が一時期無性に結婚したかったペイペイ…。まるでドラマか映画のようにその人物たちの動きや表情が見える。


朱天文、控えめに言って、天才。