社員を追い込むパワハラの実態15 〜世界はどこまでも広がっている〜 | レスキュー女子es番外 『料理でコーチング』

うつ病で休職する社員に、全員の前で挨拶をさせる会社

 

 

 

 

休んで一週間が経ったある日、会社からNさんの携帯に電話が入ります。

 

 

 

 

同僚の女性社員からでした。

 

 

 

 

「明日、緊急の朝礼があるから、絶対に出社するように伝えろと言われたんですが、来られますか?」

 

 

 

 

 

「わたしのことでですか?」

 

 

 

 

「それはわからないけど、必ず出社するようにとのことです。

頑張って来たほうがいいと思います」

 

 

 

 

 

「わかりました。なんとかします」

 

 

 

 

 

翌朝、Nさんはフラフラする目眩と戦いながらなんとか出社します。

 

 

 

 

 

青白い血の気の引いた表情で出社したNさんを、瀬古井さんは完全に無視。

 

 

 

 

なんの言葉もありません。

 

 

 

 

 

 

「わたしはこんな人間を信頼していたんだ…。

なんて人を見る目がないのだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

つくづく自分が嫌になります。

 

 

 

 

 

やばいです。

 

 

 

鬱の兆候です。

 

 

 

ことあるごとに自分を責める。

 

 

 

この流れが止まらなくなるのです。

 

 

 

 

社長と、一人の男性社員が現れました。

 

 

 

 

 

 

Nさんはこの男性社員の顔と名前は知っていましたが、ほとんど口を利いたことはありませんでした。

 

 

 

 

 

 

とにかく真面目で、振られた仕事は決して断らず、どんどん仕事を溜め込んでしまうタイプだという話を聞いたことはありました。

 

 

 

 

 

 

 

二人は全社員を前に立ち、社長が口を開きました。

 

 

 

 

 

「実は、彼はうつ病になってしまって、明日からしばらく休職します。

皆さんにどうしてもご挨拶がしたいというので、こうして集まってもらったわけです。

では、◯◯くん、どうぞ」

 

 

 

 

「みなさん、申し訳ありません。

明日からしばらくお休みをいただきます。

なんとか治して戻ってきますので、それまでお許しください。

社長は、挨拶なんかしなくてもいいって仰ってくださったのですが、わたしが挨拶させてくださいとお願いしました。

ご迷惑をおかけします」

 

 

 

 

 

 

「はい。

では、そういうことなので。

◯◯くん。

しっかり治して戻ってきてくださいね。

以上です」

 

 

 

 

 

なんだこの光景は……。

 

 

 

 

 

呆然としたのはNさんだけではありませんでした。

 

 

 

 

 

どう反応したらよいものやら、全員が黙ったまま、しばらくその場に立っていたそうです。

 

 

 

 

 

Nさんは、小さな声で隣の女性に聞きました。

 

 

 

 

 

「なんで、うつの人にわざわざ会社に来させて挨拶をさせてるの?

やばくない?」

 

 

 

 

 

 

隣の女性はこう言いました。

 

 

 

 

 

「だって、どうしても挨拶したいって、自分から社長にお願いしたらしいよ」

 

 

 

 

 

「うつの人が、自分から大勢の人の前に立って、『自分はうつです」って宣言する?無理やり呼ばれたんでしょう?」

 

 

 

 

「そんなことないらしいよ。

本当に自分から来るって言ったって聞いたけど」

 

 

 

 

 

 

「誰が言ってたの?」

 

 

 

 

 

 

 

「瀬古井さん」

 

 

 

 

 

 

「ああ…。

だからって、会社に来させる?

社長が、プレッシャーをかけたんじゃないの?」

 

 

 

 

 

「なんのために」

 

 

 

 

 

「本当は休職じゃなくて、退職させたかったんじゃないの?」

 

 

 

 

 

「そんなことないんじゃない?

わたしもよくわからないから…」

 

 

 

 

 

 

 

 

明らかに、異常な光景なのに、この人たちは、そうは思わないんだ。

 

 

 

 

 

 

会社の中にいると、そういう感覚さえ麻痺してしまうのか…。

 

 

 

 

 

 

Nさんは、このとき、決意しました。

 

 

 

 

 

こんな会社、退職しよう。

 

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休職の実態

 

 

 

 

 

そう決意した翌日。

 

 

 

 

 

 

まさにピンポイントのタイミングで社長から電話です。

 

 

 

 

 

 

「これは一つの提案なんだけど、3ヶ月休職して様子を見るというのはどうかな?て、いうのも、いつまで休むということをはっきり言ってもらわないと、君が抜けたぶん、どうしても業務が滞るんだよ。

3ヶ月の休職だったら、その間、短期のアルバイトを雇えるし、どうだろう?」

 

 

 

 

 

「はい…。

申し訳ありません。

検討してみます」

 

 

 

 

 

 

「で、休職する場合、こちらからその…、休職をお願いしたとなると、いろいろ問題があるので、君の方から申請したという形にしてもらえるとありがたいんだけど…いいかな?」

 

 

 

 

 

 

「つまり、会社が休職を強要したということになるからですか?」

 

 

 

 

 

 

「いや、そうは言わないけれど、そう取られる可能性もあるんでね〜。

でもNさんのためにもそれが一番良い休養になると思うんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい。わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、Nさんから社労士さんに電話してくれる?

電話したらわかるように手はず整えておくから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Nさんはここ数年間、まったく有給休暇を取っていなかったので、2、3ヶ月休んでも普通に給料をもらえるはずです。

 

 

でも、休職届を出し、それが受理されると、会社は給料を支払う必要はありません。

 

 

 

 

Nさんは健康保健から、日額の3分の2に相当する額の疾病手当て金を支給されるのです。

 

 

 

 

 

会社にとっては、早い時点で休職してもらったほうが都合が良いのです。

 

 

 

 

Nさんは、思いました。

 

 

 

 

 

おそらく、こういう形でうつ病の男性社員も挨拶をさせられたのではないかと。

 

 

 

 

 

Nさんは、社長の指示に従い、3ヶ月の休職届けを出します。

 

 

 

 

 

そして、3ヶ月が経過するのを待たずに退職しました。

 

 

 

 

 

退職して、初めて気づいたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は、いったい何にしがみついていたんだろう…。

 

 

 

会社で出世することに何の意味があったんだろう…。

 

 

 

 

 

人を信頼していたから、裏切られたときはきつかった。

 

 

 

 

でも、本当はそうじゃなかった。

 

 

 

自分は裏切られたんじゃない。

 

 

 

わたしが勝手に人や会社に依存していたから、勝手に多大な期待を寄せていたから、真実を突きつけられて、それを受け入れることができなかった。

 

 

 

そのことに気づくことができた。

 

 

 

 

わたしが勝手に会社に依存しすぎていたから、裏切られたという強い勘違いが自分を苦しめた。 

 

 

 

今までわたしは、ビルのワンフロアの狭い空間の中がわたしの人生のすべてだった。

 

 

 

そう考えると恐ろしい。

 

 

 

 

 

会社を辞めるイコール、自分の人生は終わると思った。

 

 

 

 

会社を辞めたとたんに、空が見えた。

 

 

 

世界が広がった。

 

 

 

 

 

 

確かに、食べていくだけでもいまは辛いでしょう。

 

 

 

 

 

でも、世の中に本当にはたくさんの仕事があって、いまは、やりたいと思うことが自由にできる。

 

 

 

 

これが、Nさんのエピソードです。

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

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