光の華
眠らなければ・・・。
せめて4時間はとりたい。
明日の午後が辛くなると困るなぁ・・・。
そんなあせった気持ちとは裏腹に
私の心身はそう簡単に
あっさりと眠りを呼び込んでくれない。
眼を閉じていると
考えなくてもよい余計なおもいが
むくむくと勢いよく
嵐を呼ぶ黒い雲のように
頭の中に湧きおこる。
そういった考えは
たいていはいたずらに自分を
さいなむだけだ。
ためいきをついて、寝返りをうつ。
毛布と布団をひっぱりあげ、猫のように
からだをくるりと丸めて悶々とし、
「はっ」として枕元の時計に目をやると、
その時計の指す時間に
失望とさらに焦りを感じるのが常だった。
今は、少しずつ楽になってきた。
眠れない夜を楽しむ方法を
いろいろ考えて試した。
読書を始めてしまうと、かえって眠れない。
かといって、音楽を聴くとそれだけではなく
PCを起動して何か作業をしたくなって
しまうので逆効果。
そしてみつけた方法が、ただただ
ゆっくりぼんやりとしたひとときを持つことだった。
蓮の花のキャンドルホルダーは、同じものが
偶然ご縁あって3個私の手元にある。
一つは自分で購入したもの。
2つ目はバレエの先生からの一昨年の
クリスマス・プレゼント。
そして3つ目は友人のPちゃんからのプレゼント。
うれしいシンクロニシティだった。
キャンドルをともすと
3つの光の華が咲く。
炎がかすかに揺れるたびに、きらきらと光の花びらも
表情を変えてそよぎ、揺らぐ。
チベット香を少し焚いて
光の華たちをぼんやりと見つめていると、ああ、きれいだなと
思いながらゆっくりゆっくり瞼が重くなる。
特に真冬の今は、キャンドルの炎は
温かい心持にしてくれてとても安らぎを
感じる。
浴室にもキャンドルのぼんやりとしたあかりだけで
のんびり温まると、リラックスできてよいものだ。
気分は山奥の秘湯にいる感じ。
キャンドルをかなりひんぱんに使うようになって
初めてあったら便利だなと考えた
実用品を先日、通販で探して購入してみた。
キャンドル用の火消し(スナッファー)
炎にそっとかぶせて「おやすみなさい」をする道具。
真鍮でできているので、だんだん色が変化して
渋い色になるのが楽しみ。
とても気に入っている。
デザインがシンプルで、柄の長さも私の使って
いるタイプのティー・キャンドルには特にぴったり。
テーブルにことりとひとつ、置きっぱなしにしても
邪魔にならない。
実用の点では、キャンドルを吹き消すと
すすがたち、パラフィンが強く匂いたつが
スナッファーをそっとかぶせると
両方とも少なくなり、芯が傷まないで
次の点火が楽になるメリットがある。
キャンドルを日常に使いはじめて感じたのは、
自然の明かりの良さだった。
裸火なので取り扱いには
十分な注意が必要だが
キャンドルの炎は
電気や蛍光灯の「夜を昼のように明るくする」
ものとは、正反対で昔の生活の時間の流れ方
つまり夜の闇への橋渡しを思いおこさせる。
私は睡眠の時間さえ、薄切りにして
無駄なくひとつ残らず効率的に使いたいと
ギリギリと気持ちを締め上げていたらしい。
炎のたおやかな揺らぎは
そんな自分を気づかせてくれて
暗闇を大切にしてみようということも
初めて頭に浮かんだ。
闇に花開く光の華たちの美しさは
毎日でも見飽きることがない。
スナッファーをかぶせて
「おやすみなさい」と声をかけると
今はそれが、私の眠りのとびらを
開く鍵になってくれている。

