EM技術による残留農薬、ダイオキシン対策
参考論文
Pilot scale bioremediation of oil contaminated soil with Effective MicroorganismsTM EM・1® and organic materials in Okinawa,
Monitoring of organochlorine pesticide residues and bioremediation of the frequently detected compound (Lindane) in soil
Bioremediation of herbicide velpar K® in vitro in aqueous solution with application of EM-4 (effective microorganisms)
Bioremediation of pulp and paper industry secondary sludge spiked with cow dung and effective microorganisms using epigeic earthworm Eudrilus eugeniae (Kinberg)
Effect of compost derived from decomposed fruit wastes by Effective Microorganism (EM) technology on plant growth parameters of Vigna mungo
Functions of effective microorganisms in bioremediation of the contaminated harbor sediments
Laboratory scale bioremediation of the Yamuna water with effective microbes (EM) technology and nanotechnology.
ダイオキシン問題を考える場合、一般に、ごみ焼却炉対策が十分であれば解決されるかのごとく思われている。しかし、ダイオキシン類としてはPCB(ポリ塩化ビフェニール)やベンゾフランなども含まれるめ、環境中に放出されている量は従来の予測の数倍以上と考えて対応する必要がある。
環境中に放出されたダイオキシン類は、特殊な地域を除けば、人体に直ちに影響が現われることはないが、低濃度のダイオキシン類は環境ホルモンとなる。環境ホルモン対策は、現状では放出量を減らし、自然の分解を待つというレベルにとどまっている。
89年、EMがダイオキシン類の一種である除草剤『2-4、D』を分解することが明らかになり、農地の残留農薬対策に期待されるようになった。
その後の研究で、EMはDDTやBHC、その他の有機塩素化合物を比較的短期間に分解することも確認され、実証的な成果も得られた。
97年に茨城県大洋村で行った調査では、EMを使用して自然農法に切り替えた農地は、三年ですべての残留農薬が完全に分解され消失することが明らかとなった。
この農地では、10aあたりのEM使用量が三年間合計で60リットルだった。このため、六ヶ月で60リットル使用した実施区を設定して分析した結果、六ヶ月月ですべての残留農薬が分解されることも確認された。
農薬の60パーセントは環境ホルモン原因物質である。40年前に使用されたDDTやBHCがいまだに分解されずに残っており、水田除草剤の『2-4、D』はいまでも使用されているダイオキシン類である。環境ホルモンの影響については、日本でもベストセラーになった『奪われし未来』(シーア・コルボーン他著、2001年1月発行・翔泳社)でも明らかなように、各種の難病はもとより、メス化、精子の減少、生殖障害など人類の未来に大きな影を落とし始めている。
大洋村の実証実験に続き、98年にはダイオキシン騒動のあった埼玉県所沢市でEMによる農地のダイオキシン類分解実験を行った。
方法は極めて単純で、焼却炉周辺の農地でEMを使用して作物を栽培している農地と、それに隣接してEMを使用していない農地のダイオキシンを分析するという方法である。
EMを使用した農地はすべて1g当たりダイオキシン量が10Pg(ピコグラム、1Pは一兆分の一)以下であったのに対し、EMを使用していない農地はすべて60Pg前後であった。ヨーロッパの基準では、40Pg以上は農業禁止、10Pg以下でなければ安全とはみなされないという法律がある。
所沢の場合、EMを使用して六ヶ月という圃場もあったので再確認実験を行った結果、EMを10a当たり50リットルを数回散布するだけで、半年で60Pgから10Pgいかになることがあきらかとなった。
この結果から考えると、過去に環境中に放出されたダイオキシン対策には結論が出たようなものである
- EM技術によるダイオキシン対策 -
EMには、一般に、まだ知られていない多様な機能性がある。放射能が減少するのは、その最たるものであるが、低温完全燃焼も、その一例である。プラスチックや紙、塩分を含む生ごみ等々を800℃以上の高温で焼却すると完全燃焼となり、ダイオキシン等の有害化学物質の発生は完全に抑えることが可能である。EMを処理すれば500℃以下でも完全燃焼となる
溶融炉でなく、一般の焼却炉では、800℃以上にすると使用されている耐熱性のレンガの劣化が早くなり、結果的に焼却炉の寿命がかなり短くなってくる。そのため、最終的に極めて高価な製鉄所並の溶融炉を作らざるを得ず、溶融炉はいつの間にか、ごみ焼却場の主役となっている。と同時に、ダイオキシンの問題が原因で勝手にごみを燃やすことは、法的に規制され、ごみは、すべて政府の認めた焼却炉で燃やすことが義務付けられている。
今回の、大震災廃棄物の処理の難しさは、焼却処分を前提にしており、しかも、その焼却炉の数と能力が限られており、更に被災地から、かなり遠隔の地に存在していることである。この問題の解決は、現地でダイオキシンを発生させない安価なEM焼却炉を多数作り、その焼却灰も現地で活用するという以外に方法はないということになる。
1990年代、ダイオキシン問題の解決のため、EMの様々な活用法が試みられた。その一つが、焼却灰に含まれるダイオキシンの分解である。焼却灰に米ヌカ等の有機物を混和し、EMを散布する方法である。今でも、この方法はかつて、ダイオキシンを含む焼却灰が放棄された場所のダイオキシン対策に使われている。
もう一方の方法は、EMの低温完全燃焼機能の活用である。この方法は、極めて簡単で焼却するごみにEMとEMセラミックスパウダーを散布すると同時に、炉内の耐熱レンガにEMセラミックス等を活用するだけである。完全燃焼の確認は素人でも判断できる簡単な方法がある。すなわち燃やすごみにEMとEMセラミックスパウダーを散布し、乾燥させた後に燃やしてみると、煙は全く出ず、焼却灰が極端に少なくなることである。
EMとEMセラミックスパウダーを混和したコンクリートで簡単な焼却炉を作り、その焼却炉でEMとEMセラミックスパウダーを散布し乾燥させた後に、ごみを燃やすと、ダイオキシンは全く発生しないか発生しても、すべて法令の規制値以下となる。この方法の応用は、沖縄県の旧具志川市、埼玉県の和光市の焼却炉で実証され、地方の、すでに耐用年数をはるかに過ぎた焼却炉でも応用され続けている。
放射能同様、ダイオキシンも実験すれば、すぐわかることである。早急に大震災廃棄物を処理したい場合、先ず木材部分を分別し、堆肥、その他に再利用できるものは資源リサイクルとする。チョッパーにかけた後に、EMを散布し、フレコンに入れ、積んでおくだけである。時間とともに良質の堆肥となるが、オガ養豚や畜産の敷料としても良質のものとなる。
プラスチックが混在している木材は、EMとEMセラミックスパウダーを混和し、表面が濡れる程度に散布した後に、乾いた時点で野焼きとする。このような方法を行なえば、大震災で発生した大量の廃棄物は、またたく間に処理が可能となる。
極端なことを言えば、大震災廃棄物の山にEMとEMセラミックスパウダーを十分に散布し、そのまま野焼きにしてもダイオキシンは発生せず、焼却灰も著しく少なくなり、その焼却灰には有害物質は全く含まれない状況となる。この焼却灰は埋め立て用はもとより、土壌改良資材としても機能性を発揮するようになる。
現今では、ダイオキシンの分析は比較的容易であり、検証するのに多額の経費がかかるものではない。関係者の英断を期待したい。