「ブライダルはニッチな業界である上に、企業規模もさまざまなので、IT化が遅れがち。専門のパッケージシステムなどもなく、IT投資が難しいのです」と語るのは、アクア・グラツィエ 専務取締役の三浦めぐみ氏。システム化の必要性は、以前から強く感じていたという。
「例えば、美容や式場を手掛ける他部門との組織間の壁がありました。店でコーディネートした内容、お客様が鏡の前で見たのと同じ姿を、当日の式場で再現しなければなりません。その姿は写真でも残していますが、これまで式場などとの連絡は主に電話で行っていたので、細かな情報まできちんと伝えられているかどうか不安がありました。お客様にとっては一生の出来事ですので、打ち合わせた内容の一言一句まできちんと残して伝えたいという考えから、IT化を検討するようになったのです」
同社の業務は、結婚式という総合サービスに連なるサプライチェーンの一部とみることができるだろう。顧客と直接触れ合うものの、同社が提供するサービスや商品だけで完結するわけではない。IT化は、単なる業務効率化のみならず、その後に続く段階のサービスと密に連携するための、詳細かつ漏れのない情報提供手段としても重要なのである。こうした考えに沿って、AXISに至るまでのシステムが開発されてきた。
そして、同社にとって最新のシステムであるAXISを、FileMakerとiPadの組み合わせで構築した理由について、三浦氏は以下のように説明している。
「FileMakerを選んだ理由は、自分たちの手で帳票を設計して動かせるなど、小回りが利くこと。また、以前からブライダル部門で使っていて馴染みがあるというのもポイントでした。システム構想そのものは2010年以前からのもので、端末にはPCやタブレットPCを検討したりしましたが、当社の接客スタッフは女性で、PCも敬遠したり携帯電話のメールも使わないような“アナログな人”も少なくありません。それに、接客はスマートにありたいですよね。『少々お待ちください、カチャカチャ』ではなく、打ち合わせを進めながら画面をタッチして、話を途切れさせずにシステムを使えるようにしたかったのです。iPadとFileMaker Goの登場で、これを端末にすることを決めました」
