カール・ヒルティ(1833年~1909年)は
敬虔なキリスト教徒であり
スイスの下院議員を務め
弁護士としても活躍し
日本では『幸福論』の著者として有名な方です。
ヒルティの幸福論は
単なる観念論的な哲学書ではなく
実体験から述べられた
実践的で、とても有益な内容が含まれています。
そして
自らの考えを実践した結果
多くの人に尊敬され
最後は、朝の散歩後に
娘さんが呼びに来たとき
ソファで眠るように亡くなっていました。
まさに、生涯現役で
理想的かつ幸福な人生を全うされた方です。
そのヒルティが最初に述べているのが
仕事術です。
仕事の上手な仕方は
あらゆる技術の中で最も大切な技術であり
この技術を一度正しく会得すれば
その他の知的活動が極めて容易になる
と述べています。
労働に対する
西洋的な考えの根底には
失楽園から追補されたアダムが
罰として与えられたイメージがあるため
ネガティブな考えが主流ですが
幸福になるためには
仕事をきちんとやることの大切さを
ヒルティは述べておられ
具体的な方法まで記述しています。
勤労を美徳と考えている日本人には
とても親和性のある内容です。
労働の喜びは
自分で考え、自分で経験することからのみ生まれ
休息は
心身の適度な活動によって得られもので
人間の本性は働くように出来ている。
本当の休息と幸福は活動の中にのみあり
心身の健康のために
有益な仕事が絶対必要である。
そして
上手に仕事をするコツを6つ挙げています。
⑴動機
世のため、社会のためという愛に根差した
高級な動機で働けば
失敗して嫌になったり
成功しても増上慢になったり熱意を失うことがない。
一方
金や功名心など
利己主義的で低級な動機では
長続きしない。
結果のみを重視しがちな欧米的価値観とは
明らかに違うように思えます。
⑵習慣化
怠惰を抑える最大のポイントは
習慣の力を利用すること。
勤勉や節制といった美徳も
習慣にならないかぎり
本当に自分のものとは言えない。
最初の一鍬は意志の力が必要ですが
メカニカルに、規則正しくやること。
長期にわたって
偉大な事業を残した偉人たちの仕事術を見れば
これが真理であることは一目瞭然です。
⑶優先順位
順番にこだわらず、大事な部分から始めること。
全てを完璧にやることは出来ないので
仕事の核心となるごく狭い部分だけは完全に仕上げて
その他の枝葉にあたる広い部分は要点だけを抑える。
仕事の仕方としては
重要度と緊急度を念頭に
優先順位を決め
パレートの法則を用いて
仕事の核心部分2割を押さえ
後は部下に任せることが管理職の仕事であると言われるように
優先順位を決めることは極めて重要であることは
周知の事実でしょう。
⑷仕事の内容を換える
仕事をし続けた結果
元気と感動がなくなってきたら
その仕事は中止する。
そこから他の仕事に取り掛かることで
休息と同じ効果があるため
仕事自体をやめてしまう必要はない。
単一の仕事を続けていると
収穫逓減の法則通り
飽きてしまう事があります。
ここで休憩を入れて
リフレッシュすることもありですが
ヒルティは
他の仕事に取り掛かることで
休息と同じ効果がある言っており
マルチに仕事をこなしている
スーパービジネスマンは
これを実践しているようです。
⑸力の節約
有益な仕事をするためには無益なことをしないことが大切。
新聞やくだらない会合などで
仕事への興味と力が奪われている。
このような精神的雑用は避け
有益な仕事のために精神力を十分に蓄えておかねばならない。
これは、現代的には
ネガティブで同じような内容を
放映しているテレビをダラダラ視ないことや
頻繁な飲み会参加などが該当するのでしょう。
⑹反復練習
精神的な仕事を最も容易にする方法は「反復」である。
精神的な仕事は一度目は全体の輪郭がおぼろげに掴めるだけだが
二度目には細部まで見えてきて理解も精確になる。
仕事に精通している人を観ていると
この反復をしっかとやっていることがわかります。
凡事徹底できることが
どの方面の仕事に関しても
本当のプロフェッショナルになる
唯一の方法なのかもしれません。
現在従事している仕事に
自分の使命を見いだせることが
幸福な人生を歩むコツなのだと思います。
人を幸福にするのは
仕事の種類ではなく
仕事を作り出す喜びと
仕事に成功を見出す喜びなのです。
人生最大の不幸は
仕事を持たず
仕事の成果を見ることができない人生
なのだと思います。
6つのコツのどれか一つでも
実践されて
幸福な人生を送られることを
心から祈念しています。