次男くんが小さかった頃。とあることがあってママに叱られた彼が言い放った。「ママ、ダイスキライ!」。
ある朝、「きょう、ママ、おしごとやすんで!」と次男くん。妻のお腹の中に三男くんが育まれていた。その日、妻はお腹が張っていて急きょ仕事を休んで病院を受診。切迫早産の兆候があることがわかった。妻は1か月ほど早く産休に入ることになった。
「赤ちゃん、まだ生まれてこないって!」とママに伝えてくれた次男くん。妻が助産師さんにそのことを話した。「きっと次男くんがサニワみたいにお腹の赤ちゃんと交信してくれてるんだよ」と助産師さんが教えてくれた。
次男くんが生まれた頃。当時、妻が愛読していた育児雑誌クーヨン。みんなのお産について、読者の体験談の募集があった。妻はそれに応募した。そして、妻が書いた次男くん出産の体験談が写真とともに掲載された。立ち会い出産でした。わたしと長男くんと義母が見守りました。蝉の鳴き声に負けないくらいの元気な産声でした。体験談が掲載された雑誌を2冊、出版社から頂きました。お世話になった助産師さんに、雑誌を届けよう!ということに。翌年、雑誌を助産師さんに届けたのです。
その同じ年に、長男くんと次男くんを連れて、妻とわたしは谷根千の七福神巡りに出かけた。それから少したって、三男くんを授かったのです。
次男くんは自分のやりたいことを見つけたようです。僕の背をとっくに追い越した彼は今、キャンパスに向かって想像・創造する毎日。バイトもしながら充実した日々を送っている。来年はきっと、一段と美しいソメイヨシノを咲かしてくれることでしょう。そう信じています。その桜を見上げながら「ダイスキライ!」と言い放つ次男くんの姿がぼくには見えます。そんな想像をする自分自身に「ダイスキライ!」がどこかから聴こえた。