激しい嵐の中
雷の光に照らされて
羽を濡らして羽ばたく白鳳凰がいた
長く飛んだのか疲れが見える。
下界を見ても視界は悪く逃げ場を見つけられない。
まだしばらく飛ぶのかと半ば諦めかけた時何かが目に入る。
そこには救いを差し出すかのような枝が伸びていた。
白鳳凰はホッとしながらその唐突だが美しい枝にとまった。
相変わらず雨風は激しいが一息はつける。
恨めしそうに空を見上げながら羽を整えた時ふと足元に伸びる枝が目に入る
「嵐の中でさえ飛ぶことばかりを考えていた。
嵐の中だからこそこうして休むことができるのはありがたい。
飛ぶのも休むのも等しく尊いのだな」
心の中で白鳳凰は目を閉じポツリと呟く。
雨に濡れた羽も少し軽く感じた。
次第に嵐は去り雨風は止み、雲の間から晴れ間が顔を出す。
それを白鳳凰は見遣り
ゆっくりと羽を動かし
そっと枝から離れる
白鳳凰の姿が遠くにいってしまってから枝は姿を変える。
あれよあれよという間に鱗がはえ、長く大きくなり
枝は白龍になった
白龍は白鳳凰を目で追いながら言った
「白鳳凰よ。お前がとまった枝は俺だ」
白龍はニヤリと笑いながら
身体をうねうねと動かし
嵐の名残が残るはっきりしない空の下、白鳳凰へ向かって飛び立った