かつてのギリシャ
デルフォイにおいて
神の言葉を
うけとる巫女たちがいた
その中の一人が
巫女だというのに
己のことについて
聞いてきた
少々変わり者の
巫女がいた

自分はこのままでいいのか
神の真意を
正確に伝えられて
いるのだろうか
神の意に叶うことを
しているのか


つまりは
神へ
自分の悩みを
ぶつけたわけだ
それも何度も何度も


我はそれを見ていた

デルフォイは
ミカエル神殿があり
神託はミカエルがくだす
とあるが
ミカエルが
生まれるから
デルフォイはあり
我妻ヘラも
我が娘アテナも
デルフォイには
赴いたことはある


みなが思うよりも
古くからデルフォイは
あり
機能していた

神託を預かる神も
ミカエル以外に
当然いた
我も
答えたかもしれぬ

さて
何度も執拗に問うてくる
小さな巫女に
我はしばらくして
語った


己の使命を全うせよ

その他には何もない



小さな巫女は更に問う

私の使命とはなんですか?



我は応える

わからぬのか?
今まで散々
やってきたではないか
神に仕えること
神の真意を伝えること

他にやることはなく
それのみに
誠心誠意つくせ


さらに小さな巫女は問う


私はそれを
十分できているでしょうか



我はまた
応える


十分でないと
感じるなら
十分と感じるまで
やり続けること
十分と感じているなら
それでよし

とにかく
やり続けること
終わりがくるまで
やり続けること


使命とは
そういうもの



ちいさな巫女は
頷いた


地上時間にすれば
何千年前のこと

会話時間は
ほんの数分

だが
小さな巫女は
神に仕え続けた
「その時」が来るまで




時を超えても
魂は覚えている
己の使命
魂の求めること

ひたすら
それに邁進する

小さな巫女は
今も小さな巫女だが
使命は忘れては
いない


魂の方向性は
時を超えても
転生を重ねても
変わらない
どこかで
覚えている

他の皆も同じ
己の使命は
各転生でも
やったきたこと
魂は忘れない

それ真っ当し
やり続けるのが
使命である