こんな時間にちょっとだけ外に出てみたら
前世ギリシャ、デルフォイの記憶が蘇ってきた。
何かの祭りをしてる。
時間は夜。
一応、祭りは終わったけど
後片付けしたり
酒を飲んでる男たちがいたりして
まだまだ祭りは終わらない。
デルフォイはきりたった山の側面にあるけど
周りは山ばかり。
そこに唐突に聖なる預言の場としてのデルフォイがある。
明かりがあるのはここだけ。
あとは、自然ばかり。
私は祭りの熱気も覚めやらない人たちの流れに逆らって、薄暗くて見えにくい広大な連なる山々を見ようとする。
私はデルフォイの巫女をずっとやってるけど、これでいいのか。
役に立ってるのか。
喜ばれているのか。
神の言葉をしっかり受け取れているのか。
伝えきれているのか。
そろそろ五月。
雨が降らなくなり
ギリシャは乾燥する。
内陸地は熱くなる。
草木は枯れる。
ギリシャの営みにデルフォイの巫女という仕事は馴染んでいるんだろうか。
自然と一部として組み込まれていいんだろうか。
満天の星に問いかけても返事はない。
万人の質問には答えるが、神は私の質問にはなかなか答えをくれない。
己で道を見つけよということか。
巫女なんて特殊なことをする女は容易に神に頼るなということか。
ここで誰かに呼ばれた気がして、皆のところへ戻る。
戻りながら、私は考える。
ならば、己で見つけてみようぞ。
そして、ここにデルフォイの巫女ありといえるくらい
預言の精度をあげ
神に仕え、人に仕えようぞ。
それが私のできること。
私なりに自然の中に組み込まれること。
昔も今も私はかわらんな(苦笑)