ゼウス
今宵、新月
我も
かつてのギリシャにおいて
戦の合間の新月に
心を傾けたことがある
空を見上げても
月はなく
星々の
囁きあいが
聞こえるだけ
指針を
失ったような
なにか
かけたような
そんな気になる
新月の夜
そんな時が
我もあった
きっとみなは
我には
そんな
センチメンタルな
部分が
あるのか?と
疑うだろう
しかし
我は
国民の命を
握っている
我の向きで
生き死にが
変わる
責任重大である
そんな時は
ひたすら
独りになる
孤独になる
誰も寄せ付けず
ひたすら
神に祈る
このゼウスさえ
闇の前に
屈服したこともある
しかし
どんなに闇を喰らっても
必ず光はある
必ず、だ
そして
闇をくらったものは
強い
それを我は
かつてのギリシャで
体験した
みなも
絶望の中
闇の中
この絶望や
闇が
永遠に続くと思うだろう
いつ終わるのか
いつ終わるのか
この絶望はいつ終わるのか
この闇はいつ終わるのか
そのざわめきが
余計に
絶望や闇を
留まらせる
絶望の時は
絶望をくらい
闇の時は
闇を喰らう
その中で
光が見えてくる
我も
ギリシャで
闇はくらった
我は全知全能なりと
声高に語ってはいるが
あのギリシャで
様々なことがあった
楽しいことばかりではない
我の魂の
傷に残ることも
あったのだ
しかし
我は
魂の傷を愛する
それゆえ
全知全能なのだ
何故魂の傷さえ
愛せるのか
不思議か?
なんら不思議ではない
不思議なことはない
絶望の只中にいようとも
闇に食いちぎられようとも
我は神の手の内にあった
全ては神の手の中
故に
我は
闇を愛する
絶望を愛する
絶望や闇に塗れると
神が背を向けているように
感じるが
その時こそ
我の元に
神はいた
神の手の中に
我はいた
それが今ならわかる
肉体から去り
帰天した後なら
わかる
絶望さえ
闇さえ
神の愛だということが
みなよ
絶望や闇こそが
今
愛だとわからずとも良い
それはいずれ
わかる
我は言う
絶望の中でも
漆黒の闇でも
必ず光はある
光の糸は必ず
どこかに有る
神は決して見捨てない
全ては
神の手の中にあるのだから
そして
このゼウスも
皆を天界から
見ている