大学街の郊外のそこには似合わぬ
カリブの国の名を付けた
ボートレースもできる大きな池の
長い周囲を昼過ぎに歩くのが日課になっていた
シティ・トラムの道から静かな住宅街を抜け
照り返しの強い白い車道を横切って
なめらかに広がって空を映す水の周りを
十分も歩けば半袖の腕が日焼けした
はたはたと通り過ぎていく美しいランナーの
もうこれで今月に入って十七回めの「今 何時?」
きっとランチ・タイムのランナーは
ポニーテールを揺らして追い越しながら
時間をいつもとても大切にしていた
肩にも背にもにじんだ汗を僕はもう
今月に入って二十五回も見送っているけれど
答えはいつも
トエルブ・フォーティ・ツーからナインの間
ちょっと振り向いて微かに笑ったサンクスに
何故だか僕は黙って応えなかった
応えていたら今頃僕は
ここにこうしているのだろうか
繰り返される眩しい笑顔に
すっと応えて声かけるには
近代的な人工物も見え隠れする
静かな池の陽射しは余りにも熱過ぎた
繰り返す反実仮定の思い出は
まるで陽射しの強かった日曜を思い出す月曜日
Sonic Graffiti by Ben Rusch
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