雨小僧が言った
「人間なんて嫌いだな」
風娘が聞いた
「なんでさ」
雨小僧が答えて言った
「お前はいいさ
皆がお前に吹かれるのを喜んでいる
でも俺に濡れるのなんて
誰も喜んでないからな」
風娘が少し吹いてから言った
「そんなことはないよ
ほらそこに濡れて歩いている人がいる」
雨小僧はそっぽを向いたまま言った
「ふん
どうせ傘でも忘れたさ」
風娘は笑って言った
「いいや
傘を持たずに今家から飛び出してきたとこだ」
雨小僧は少し強く降りながら
「そんならこれでも喜ぶか」
風娘が言った
「おやおや
あの娘はあんたを見上げて濡れている
あの娘はあんたが好きなのさ
あんたが
涙を隠すのうまいから」
それから
雨小僧は少し優しげに降り
その娘の目から涙が降り止むまで降っていた
七月初旬の昼下がり
明日は天気になるのかな