不完全な切り紙細工 -42ページ目

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 熱い微風の中の街

 風は涼しいというより熱い

 割れそうに熱を帯びた煉瓦の壁

 乾き始めている通りの土



 角を曲がった小さな広場の噴水で

 子どもたちが水と遊び始める

 僕はそこで降り注ぐ水の虜になる

 街のおもてに青く広がる逃げ水の海で

 僕は泳いでいる

 

 息苦しい日々から

 解放されるのは水の冷たさと

 今や涼風になって

 熱を奪って行く微風のおかげ



 七月半ばの午後一時半

 短い影の天使が笑って夏を宣言した