朝の蝉 夏の朝に 湿気た線香花火みたいな蝉の声 ちち ち ちちち ちち ち と断続する まだ目が覚めきっていない寝ぼけた蝉か それとも 羽化したばかりで鳴きなれぬのか 朝食を口にしながら 思わず おい がんばれ と思う そうしたら急に 夏が来たことに気づいたように 耳を貫く声で鳴き始める 強い夏の音 時 それはあるときには 育むもの 長い眠りの後に目覚めた夏が鳴き始め 冷たい麦茶のガラスを握っている 僕の刹那と蝉の刹那が交歓する