
時は気づかぬうちに過ぎた
瞬く間にとは言わない
むしろいつの間にか時は過ぎた
僕が水辺を歩き始めたのは午後1時を少し回った頃だったのに
気づけば夕刻の7時を過ぎていた
僕は茫然と6時間を水辺で過ごした計算になる
緑が満ちた日だった


雲が湧き上がった日でもあり
なめらかな水が緑の岸に向かって寄せ続けた日でもあった

雲居に飛ぶ一羽きりの鷺の空


風に乗るアジサシの遠い羽


嵐の前の密度の高い風が緑を揺らし明日の夏を予告する

でもまだそこそこに
春の名残り

花はほとんど見当たらなかったけれど
緑はすでに勝利を決定的にしていた
池の面を

熱い風に乗って高い空を
鳥たちが過ぎていき

今日
僕が見たものは繰り返される生命の時間の
何度となく繰り返される反復の
ほんのひとつに過ぎなかったけれど
それでも
それはおそらくは一度限りの
二度目のない出会い


気づけばそれは金色(こんじき)の時

昼
銀色に輝いた波は
金色(こんじき)に
かけがえのない
金色に変わって
一日が終わろうとしていた

生きた者たちは
金色の波の向こう
過ぎた時間に包み込まれて見えなくなった
水辺を後にしながら僕は考えていた
すべきことは
明日は
何であるべきかを
今回で「七月の水辺へ」は終わります

