不完全な切り紙細工 -19ページ目

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 
 低く垂れこめた雨雲の合間をぬって

 小さな祭りが始まった

 ごく当たり前の

 変哲のない


 毎年のように

 盆踊りの太鼓が夜空に鳴って

 飾った櫓(やぐら)の上の光のなかで

 浴衣姿のひとたちが提灯と揺れ






 水風船のヨーヨーが水から釣り上げられたり

 落ちて水を跳ね返したりするのも

 スーパーボールのプールに屈(かが)みこんだ

 子どもと大人が目を輝かせて笑うのも

 押すな押すなの覗き合いだって

 いつもと何一つ変わらない









 金魚は二匹すくってオマケも三匹もらったから

 後はお菓子でも食べながらジュースを飲めば

 いつもより少しだけ幸せな夏祭りになるのかな




金魚を入れたビニール袋持ってるのだあれ?




 いつものように

 毎年のように始まって人が集まりひけていく

 違うのは新顔がやってきて旧顔が少し減り

 みんなが一歳ずつ大きくなったこと

 そのことも祭りもなんだか照れくさいほどに

 センチメンタルだったものなのさ