不完全な切り紙細工 -10ページ目

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある








    自らの姿を水に映したこともなく

    ただ身体を濡らす水を恋して

    水のものに

    ただ水のものになりたいと


    陸(おか)を忘れて

    ただ水のやわらかき腕(かいな)に身をあずけ

    深みへと泳ぎ行き

    この肌のうちまでも水に与えてしまうのだと


    深淵を怖れることはない

    水の深みの甘さに身も心をも

    いのちの息も

    深みへと


    すべてを

    水に

    与えんと


    そして

    やがて解け水となりゆくことだけを










Depth of my Heart by Gopal
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