夏の夜の道 夕暮れに住宅街を歩く 聞き慣れた夕餉の音 誰か親か祖父母と一緒に風呂に入って はしゃいでいる子どもの声と水の音 機械的なテレビの声 開けはなされて網戸の影だけの夏の夜の窓 どこかでドラムを練習するひとがいる 走り来て走り去る自転車の小さなライト 蛇行しながら吹いてくる暑い風 今日最後のピアノ 暗くて誰もいない道の自分だけの足音 夕闇の深さを愛して 見上げれば久しぶりに 息を呑むほどの星月夜 この美しい孤独の かけがえのない至福