象が転んだ | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 
 
 雨の日に野原で一頭の象が滑って転んだ

 ずっでんどおおんと地面が揺れた

 象が何度も転びながら起き上がると

 雨が止んで真っ青な空に虹が広がり

 地平線に乗っかった象を穏やかに囲んだ

 大地は今も空の蒼さに恋しているんだな