雨音 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 雨音が屋根をつたい
 軒を滑って
 眠っている部屋の中
 頭の芯にまで落ち

 遠い時を蘇らせる

 今夜
 望みうるものを望み
 光源を見る

 雨音はその対峙を濡らし
 和らげる

 いのちとは光の緊張と
 夜の
 絶えざる反復の

 雨音

 一粒ひとつぶが
 寄り添い解け流れ
 すっと真っ直ぐに
 落ちていく

 音