猫を猫と呼ぶ | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 猫を猫と呼ぶ日

 あなたをあなたと呼ぶ

 昨日(きのう)を昨日と呼ぶことに何の不都合もないように

 明日を明日と僕たちは呼んで

 生きていくだろう


 でももしも

 昨日(あした)を昨日と呼ぶことに躊躇(ためら)いが残るなら

 僕たちは自分を何と呼ぶのだろう

 そうだな

 きっと明日の猫と呼ぼうかな

 言葉をみんな忘れて

 みゃおみゃおと

 あなたもみゃおなら僕もみゃお

 名前で呼ばなくたって

 猫は猫として生きられる






             J'appelle un chat un chat.   私は猫を猫と呼ぶ
             ( 体裁を繕うのは嫌だよ というような意味 )