軽はずみな | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 重々しい漆黒の悪魔より軽はずみな天使

 大きな嵐より束の間の旋風(つむじかぜ)

 滔々たる大河より道端のせせらぎ

 小さな肩を揺らして転がって行く春の

 無思慮な右往左往を人は愛さずにはいられない

 そしてこの僕もまたひとときその春の虜(とりこ)

 だれかが傍(そば)の野原で笑っている