君は誰 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 君は誰
 君は誰
 よくよく知った君に急に聞く
 なぜ聞きたくなったのかはわからないけど
 僕の奥底から君の奥底へ
 問い尋ねたいときがある

 僕は誰
 僕は誰
 ずっと僕として生きてきて
 そんなことを考えることは滅多にないけれど
 僕自身から僕の奥底へ
 聞き返してみたいと思うのは

 きっとそれは
 誰かを愛することがどうしたって
 自分を問うことになるからで
 そして君は誰かと聞いた今
 その誰かとは君なのかもしれないと
 僕が思い始めた証拠なのかもしれないが

 君は今どこにいて何をしているのだろう
 それさえ僕は知らないが
 それでも僕は聞きたいと
 君は誰
 僕は誰
 僕のよくよく知った君は今はどこ