薔薇を手渡す『薔薇の思い』 手渡した薔薇は少し不思議な色だった あなたはそれを受けとると 棘などなかったようにしっかりと握りしめ それから何ごとか小さくつぶやいたけれど 動転していた僕の耳には聞こえなかった ほんのり俯(うつむ)き加減のあなたの顔は ほんの少しだけ戸惑うようで 濡れた唇にかすかな微笑みが浮かんでいた そのときから 僕はあなたの声を 聞き取れなかったあなたの言葉を ずっと探しつづけている気がする