詩人の輪廻 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 

 蝶が花の中を少し斜めに飛んだとき

 詩人はその理由を見つけようとする

 鳥が風を超えるように羽ばたくときも

 詩人はその理由を見つけて歌うだろう


 けれどきっと

 蝶にも鳥にも今このときに

 そのように飛ぶことに特別な意味はなく

 あるとすればただ

 生きるがゆえに飛ぶだけであり

 偶々そのように飛んだだけであり

 詩人の言葉のような

 人間の言葉のような

 作られた意味を持ってはいなかった

 もし彼らが言葉を理解したならば

 そのわざとらしさを

 きっと笑いさえしただろう


 ならばなにゆえ詩はあるか


 使い古されたメタファーを捨て
 
 蝶と鳥と人とすべての命と物の

 そのそれぞれの在り方を観て

 なにゆえ我ら連なりて

 同じこの世に在るのかを知る

 何事か新しき命の連鎖を見出して

 とらえがたくつかまえがたい

 命の如き言葉の鎖を生むためだ

 
 
 さもなくば言葉を捨てて鳥になり

 さもなくば家を捨てて蝶になれ

 そうすれば少なくともひとつの

 新しい命を生むことにはなるだろう