沈まない太陽の季節 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある










  沈まない太陽は極北の地の夏
  まるでこの星の頂点を言祝(ことほ)ぐように
  空の360度を巡っていった
 
  その周回の見かけの面は
  この星の回転軸に垂直に突き刺さり
  明らかに僕たちにその傾きを見せるのだ

  極北の真夏の時間は炎のように
  激しく燃え上がって何倍もの速さで進んだ
  若者たちの恋の速度さえ追い越して

  追い越された者は空を見上げて言ったものだ
  大丈夫さ
  まだ陽は沈まないのだからと