
雪がほんの少しだけ降る朝だった
何をしたらいいのかわからなかった
ベランダから海と空を眺めて横を向いたら電線に二羽の鳥
椋鳥かもしれない
椋鳥は嫌われ者らしい
大挙してやってきて糞をまき散らし
しかも喧(かまびす)しい
けれどこうやって電線から遠くを見ている二羽は美しい
というか好きになる
大きさがかなり違うから親子なのだろうか
椋鳥の卵は不思議な色をしている
以前雨戸の戸袋に巣を作られてそのままにしていたら
雛の声がするようになった
やがて巣立って居なくなった後に
孵(かえ)らなかった卵がひとつ残っていた
青みがかったパステルカラーのモス・グリーン
今朝の空の色を少し濃くしたような卵だった
親指よりは大きな
それ以来
窓辺に来る椋鳥を僕は追わないことにしている
たったひとつの卵の鮮やかな記憶の故に
その朝にすることができたと思った