なにごとか考えながら歩いていたりすると
ごつんっ いてて
なんて電信柱にそう簡単には打ち当たったりはしないけれど
でもはっと気づくと目の前に思わぬものがあった
そういう経験はないだろうか
坂道を歩いていて
その坂の少し下に生えている木の枝が歩道に顔を出していた

秋を装った数々の葉の間に
なにやら楽しげに
なにやらゆかし 白玉の
いや白だけではない
黒褐色のものもある
実は黒褐色の皮が
下の右側の実のように弾けて
中から白い実が現れるのだ
楽しげな三つ並んだ白い実が
秋日を白々と反射していた
よく見るとまだ青い実もあった
(どうして青いと言うのかいつも不思議に思っている
色の表現はほんとうに色々な習慣や感性を物語る)
しかも青い頃はまだ目立って三つ頭になっていないようだ
(もしかしたら場所やあるいは亜種とかで三つ頭が明瞭なのもあるのだろうか)
酸っぱそうな蜜柑のようにさえ見える
けれど3センチ足らずの大きさだ

ナンキンハゼ
白い実を集めて煮るとロウがとれるとか
ろうそくなどのロウ
そんな植物だったのか
調べてみて
黒褐色と白は同じ一枚に写っている写真はあったけれど
青い実と一緒の写真は見当たらなかった
それに調べて見つけた写真では
もうほとんど葉が落ちた裸の枝がひろびろと空間に広がっていて
そこに星のように白い実がばらまかれている
そんな写真が多かった
銀杏の葉は
ある日忽然とすべてが音を立てて落ちるけれど
ナンキンハゼは
紅葉も一本の木でパステルカラーから
深い紅の色まであって
そのどれもが光を透過して美しい
そこに青い実も黒褐色に乾いた外皮も
ロウのように白い実も
すべてを同じ日に見る
それはいくつもの違った時間が
一本の木に宿っているような不思議な感じがした
もしかして今年は季節が駆け足で
ナンキンハゼも驚いているのかもしれない
そう思って
坂道の横まで降りて下からナンキンハゼの枝を見上げた
そこには
違う意味の青の広がり
秋の空
ナンキンハゼが空に向かって何かを歌っている
そのうち鳥たちがやってきて
ナンキンハゼの子どもたちをまた別の世界へ連れ出すまで
雨風の少ない日々をくださいね
そんなことを空に向かって小声で歌っている
そんな気がした昼下がり道
秋終盤にしっかりと向かい出す
この木の紅葉はこちらをどうぞ 『風が色を揺らしていた』
