愛はただ嵐の夜の 熱き足と足が 冷たき腕(かいな)と腕(かいな)が 木々と風のように奪い合い 絡み合う 降り注ぐ雨と 猛る風の嵐の夜に 愛し合う 人の心の騒ぐ血は 永い人類の か弱く洞穴(ほらあな)で 怯えて過ごした歴史の名残り その不安をもう誰も知らない時代にも 愛は恐れては奪い 落ちては昇り満ちては欠ける 不安の海の 波濤の上の白き月 何処にて停泊するのか 波の間に間に揺らぐ舟 児に乳を与える女の 束の間の陶酔も 我ら生きてあればこそ 波になり風になりして 木になり川になりして 今を過ぎゆく