もしも翼がもらえたら | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある









 もしも翼がもらえたら
 空に出かけて僕は何をするだろう
 失われた古代の都市のそのうえを
 いつまでも悠々と飛びつづけ
 ひとびとの思いをみんな吸い込んで
 君の胸まで届けるか

 もしも翼がもらえたら
 空に出かけて僕は何をするだろう
 失われた時代(とき)の願いを象(かたど)って
 いつまでも消えない虹をかけ
 光りと風の繰り返される後先を
 君の夢まで届けるか

 もしも翼がもらえたら
 空に出かけて僕は何をするだろう
 届けられなかった郵便を背に載せて
 どこまでも降ろさない帆になって
 君がそっと綴った一生を
 遥かな海の向こうまで

 もしも翼がもらえたら
 空に出かけて僕は何をするだろう
 羽の根元が折れるまで高く飛び
 君が旅してみたいと願ったあの場所に
 一番に届く路を見つけだし
 君のすべてを届けよう

 もしも翼がもらえたら
 空に出かけて僕は何をするだろう
 涙がすべてを洗い流すまで泣き
 その涙が乾いていつか君が笑うまで
 いつまでも終わることなく飛ぶ僕を
 君の眠る瞳に届けよう

 もしも翼がもらえたら
 空に出かけて僕は鳥になり
 緑の萌える山の端を光瞬く水の辺を
 ひとびとの笑う街の高い塔
 幸せに息づいている家々の
 上を遥かに飛ぶだろう













         しばらく翼を歌おうと思いました
         光透き通るほど薄いけれど
         力強い羽を眺めてみてください
         
         FEDEXとか航空会社のテーマソングになりませんように(笑