柳のしなやかな枝に
裏切られ見捨てられたオフィーリア
二月の水はまだとても冷たかったのに
オフィーリアは幸せだった
水のように冷たいハムレットの腕に抱かれて
堕ちたとき
華やかな服の広がった裾がまるで花の舟のように
彼女を水に浮かべたが
やがて冷たい水の手が
彼女のまだ男を知らぬ乳房を濡らし
腰布の下でぎこちなく硬くなっていた腰にくちづけて
深々と彼女の身体を犯していくのを
軽やかに
でも少し上の空で歌を歌いながら
感じていた
蕁麻(いらくさ)に傷ついた足の裏
どこかで倒木にでもぶつかって太腿にできた青あざも
何もかもが水に愛撫され
朝一番に開けた扉に入るときは乙女でも
出てくるときは女になっていると
気の触れた戯れ歌で自身が歌ったように
果たされなかった婚約が死のなかで満たされる
華やかな金鳳花
「死の指」と呼ばれた紫蘭の花と
愛の虚しさを語るパンジーさえもが
この婚礼を鮮やかに彩ってくれた
やがて芥子の花が音もなく開くと
彼女を支えた花のような服は重く濡れ
永久に帰らぬ水底にオフィーリアを連れて行く
沈むときも
雛菊のように無垢なまま
純潔の菫を首に飾って微笑んでいた
今は緑の草に覆われた川底で
ハムレットの冷たい愛を末永く
そして静かに受け入れているのだろうか
遙かなる時を超えて
今日(きょう)この日までも
John Everett Millais Ophelia (1852)
