迷路の中を | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 すぐ心変わりする
 この僕が
 いつも
 どんなときも
 意見を変えたことのない想い

 それは枝の美しさ
 迷路のように伸びていく枝と葉と花の芽の
 シンメトリーとアシンメトリーを
 縦と横
 行と列にするマトリクス
 迷路のように伸びゆく枝のありさまを
 この上なく美しいと思う
 そのことだ

 そして僕は
 その迷路の中に歌われるあのロジックを
 規則性の見えない中に広がってゆく
 不思議に規則的なロジックを
 心から愛さずにはいられない

 光にたどりつけず
 迷い続け蠢いてきた
 藻掻きの枝が複雑に織る布の
 その指の動きに秘められた
 光に向かう
 コヒーレントなロジックを