風の通り道をいつか探していた
それほどに風に心寄せていたわけではない
人ほどに風を感じていただけだったのに
私はいつか風に焦がれて
風を愛した
ただひとひらの偶然にしたがって
目に見えぬその過ぎ去りを
形なき愛の寄す処(よすが)を
見定めたいと思ったからか
風の通り道をいつか探していた
愛とは気づかずに
恋とも知らずに
ただその吹き来る通り道の
傍に静かに立ち暮れて
囁く音も激しき音も
微笑む花も鎬(しのぎ)を削る枝々も
ああ
風のなせることのすべてを
この小さき胸に書き留めて
風の通り道をいつか探していた
人が思い遂げることもなき
風の姿よ
目に見えないあなたの
仕草のすべてに
私の思いを重ね重ねて
風の通り道をいつか探していた
見失えば見失うほどに
隔たれば隔たるほどに
その道が私の道になるようにと
私はあなたを追い求め
風の通り道をいつか探していた
いつか先回りして
まっすぐに風に出会って声をかけられる
この道を
その一瞬の風の揺らぎに
私のすべてをかけて
言うだろう
長く抱き続けたこの一言を
ただその時のためだけに
ずっと探し続けた
その一言を