僕の人生 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 実は
 僕の人生は
 僕のものではない

 あなたの
 あのひとの?

 いいえ
 そういう意味ではなくて

 僕の人生は
 僕のものではない

 なぜなら
 僕の人生は
 僕だから

 僕は僕の人生を
 あるいは僕自身を
 所有することなど
 できはしない

 僕は僕の所有物?
 そんなことしたら
 僕が持っている僕が持っている僕が持っている僕が持っている僕は
 果てしなく
 キリがなく
 僕から逃げてしまうだろ
 逃げ水みたいに

 今
 地べたに
 あなたの
 みんなの前に
 投げ出されている
 この僕は
 僕のものでもない
 僕さ

 ただの
 ただそれだけの
 僕