蝉が鳴く この日 蝉たちはいっせいに鳴き始め 著しく鳴いた 過ぎ行く夏を惜しむにしては余りに激しく まるで世界が終わるのを見かねて じっとしては居られないとでも言いたげに 灼熱の血反吐の如き けれど蝉たちは あの一時間前に 冷たく息を飲むように 一匹また一匹と おし黙り始め そしてとうとう最後の一匹が身体を震わすのを止めたとき 確かに 世界が終わった 彼らに言うべきだったかもしれない 無駄な警告は すべきでなかったと どうせ届くことのない声だったのだから 行くべき者をして ただ行かしめよと