空 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


朝に
明るく
弾ける音がする

空のしっぽをつかんだら
綿飴みたいに
雲が笑った

誰かがガラス窓に
ぶつけた木の実ひとつ
僕のいのち

驚いて
走り出す子犬みたいに

今日はきっと
世界が変わる日にちがいない

空の高いところで
からからと
こだまが
うれしそうに跳ね返り

よかったね
生きていて

よかったね
空の下にいて