光透過遅延ガラスの大窓 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 光透過遅延ガラスって知ってますか
 中に気泡なんか絶対入らないほど
 密度の高いガラスでね
 そのせいで光が通過するのに時間がかかる

 例えば圧縮度1の
 このガラスで1mmの板を作り
 ガラスの向こう側でランプを点けると
 スイッチの音がしてから約1秒後に
 点いたのがこっちから見えるんだよ

 だから圧縮度10のを1cm厚の板ガラスにして
 大きな窓を作ると
 100秒後にあちら側の光が見える計算で
 ゆっくり光が伝わってくるから
 例えば外の林の枝の葉が風に揺らいだのが
 100秒後に見える
 つまり100秒間は揺れる葉をとらえた光が
 ガラスの中に閉じ込められるんだよ

 だからそんなガラス板を
 素晴らしい風景が見える場所に持って行って
 刻々と変化する風景をガラスに閉じ込めてから
 速やかに別の場所に運べば
 電気の要らない動画ができるのさ
 風景パッドあるいは風景ガラスとでも言えそうな
 凄いと思わないかい
 1m厚だと10000秒で3時間近くも前の
 過去が見える計算になる

 こんなので部屋の大窓作ったら
 どんなにか世界が素晴らしく見えるだろうか
 ってね

 このガラス
 現在の地球の技術水準ではできない
 実はNASAの下部組織のUSOSAが
 ある彗星で採取したもので
 まあ文字通り
 ウソさ  なんだけどね


 ずっと僕の夢なんだよ
 ガラスによるタイム・マシン




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