船橋図書館で、かよこさんの「水源」を借りようと思ったがなかった。「いずれ買うことにしようw」と、船橋の裏町を歩いていると「花生食堂」がまだ残っていた。ゆらゆらと幻のように建つ古い佇まいに惹かれて以前から気になっていたが、一度も入ったことがない。
この近くにある老舗の中華料理店で最近になって有名になった船橋名物ソースラーメンを食べようと思って裏道をブラブラしていたのだが、花生食堂の”儚い”雰囲気に惹かれて意を決して入ってしまったのだった。
すると一人の60代らしき男性が、入り口付近に”この店の主人”然として座っている。
「すみません。やっていますか?」と言うと、男性は店の奥のほうに顔を向けて「おお~い!お客さんだよぅ!」と叫ぶ。しばらくすると店の奥から小柄な60代らしき女性が「は~い、いらっしゃいませ」と慌てて出てきた。
厨房らしきカウンターの上に黒塗りの板に書かれたメニューらしきものに「お定食400円」とある。
「この定食って、何の定食ですか?」と聞くと「ご飯と味噌汁と、ほうれん草のおひたしです」と言う。驚いた。焼き魚とか卵焼きとかメーンのおかずがないのだ。「じゃ、これにお好みでおかずを注文すればいいんですね?」「そうです」「じゃあ鮭を付けてください」気軽に言った。すると「鮭は400円で合わせて800円になりますが、いいですか?」との応え。僕は何も考えずに「いいですよ。お願いします」と返事しちゃった。
鈍感な僕は、しばらくしてから驚いた。
「え・・・800円!牛丼なら2杯食べられる・・・」慌てて注文を訂正しようと思ったが後の祭り。女性は鮭を七輪みたいなものの上に鮭を乗っけちまったのである。それに貧乏人には貧乏人なりのプライドがある。いまさら後には引けない(嘘)。
鮭がぼうぼうたる炎に包まれ、皮が焦げて、いかにも鮭を焼いているぞといった美味そうな香ばしい匂いを狭い店内に放ち始めると、逆に僕は不安になった。明日は何かなかったかな?ここで800円使うと、数日は交通費がかかるような場所には出られないからだ。
「お待たせしました~」女性はアルミのおぼんに乗せられた定食を僕の目の前に置くと「ごゆっくり」と言って店の奥に消えた。
ふと視線を感じると思ったら、さきほどの60代らしき男性だった。僕はニコリと愛想笑いをしてから、テーブルの上の割り箸を手にとって口に銜えパチンと割った。すると古い湿気のある木の匂いが僕の鼻腔を襲撃した。古くて湿気のある割り箸は最低だ。
僕は我慢して割り箸でご飯を摘んだ。そして口に放り込むとまた別な匂いが鼻腔に充満した。「腐ってはいないけれど危険レベルの夏場の飯の匂いだ!」「おえ・・・」と我慢しつつ味噌汁をすすった。味噌汁は普通だったので危険な匂いが消えた。「助かった・・・」
高価な危険レベルの昼食・・・。
焼き鮭は新鮮なもののようで、ふっくらとしていて、生臭さもなく高級な味がした。炭で焼いたからだろうか(多分)?
どこで食べても同じであろう、ほうれん草のおひたしにテーブル上の醤油をかけた。ぷーーんと溜まり醤油の匂いがした。醤油もテーブル上で発酵しているのだった。お浸しを噛みながら漬物を摘んで口に放り込んだ。
「美味い!」こういう食堂の古漬けというのは臭いもので、へたすれば腐ってるんじゃないか?ってな臭気を発しているものだが、この漬物は東北の”しょっぱい懐かしい”漬物の味がした。涙が出た。


この近くにある老舗の中華料理店で最近になって有名になった船橋名物ソースラーメンを食べようと思って裏道をブラブラしていたのだが、花生食堂の”儚い”雰囲気に惹かれて意を決して入ってしまったのだった。
すると一人の60代らしき男性が、入り口付近に”この店の主人”然として座っている。
「すみません。やっていますか?」と言うと、男性は店の奥のほうに顔を向けて「おお~い!お客さんだよぅ!」と叫ぶ。しばらくすると店の奥から小柄な60代らしき女性が「は~い、いらっしゃいませ」と慌てて出てきた。
厨房らしきカウンターの上に黒塗りの板に書かれたメニューらしきものに「お定食400円」とある。
「この定食って、何の定食ですか?」と聞くと「ご飯と味噌汁と、ほうれん草のおひたしです」と言う。驚いた。焼き魚とか卵焼きとかメーンのおかずがないのだ。「じゃ、これにお好みでおかずを注文すればいいんですね?」「そうです」「じゃあ鮭を付けてください」気軽に言った。すると「鮭は400円で合わせて800円になりますが、いいですか?」との応え。僕は何も考えずに「いいですよ。お願いします」と返事しちゃった。
鈍感な僕は、しばらくしてから驚いた。
「え・・・800円!牛丼なら2杯食べられる・・・」慌てて注文を訂正しようと思ったが後の祭り。女性は鮭を七輪みたいなものの上に鮭を乗っけちまったのである。それに貧乏人には貧乏人なりのプライドがある。いまさら後には引けない(嘘)。
鮭がぼうぼうたる炎に包まれ、皮が焦げて、いかにも鮭を焼いているぞといった美味そうな香ばしい匂いを狭い店内に放ち始めると、逆に僕は不安になった。明日は何かなかったかな?ここで800円使うと、数日は交通費がかかるような場所には出られないからだ。
「お待たせしました~」女性はアルミのおぼんに乗せられた定食を僕の目の前に置くと「ごゆっくり」と言って店の奥に消えた。
ふと視線を感じると思ったら、さきほどの60代らしき男性だった。僕はニコリと愛想笑いをしてから、テーブルの上の割り箸を手にとって口に銜えパチンと割った。すると古い湿気のある木の匂いが僕の鼻腔を襲撃した。古くて湿気のある割り箸は最低だ。
僕は我慢して割り箸でご飯を摘んだ。そして口に放り込むとまた別な匂いが鼻腔に充満した。「腐ってはいないけれど危険レベルの夏場の飯の匂いだ!」「おえ・・・」と我慢しつつ味噌汁をすすった。味噌汁は普通だったので危険な匂いが消えた。「助かった・・・」
高価な危険レベルの昼食・・・。
焼き鮭は新鮮なもののようで、ふっくらとしていて、生臭さもなく高級な味がした。炭で焼いたからだろうか(多分)?
どこで食べても同じであろう、ほうれん草のおひたしにテーブル上の醤油をかけた。ぷーーんと溜まり醤油の匂いがした。醤油もテーブル上で発酵しているのだった。お浸しを噛みながら漬物を摘んで口に放り込んだ。
「美味い!」こういう食堂の古漬けというのは臭いもので、へたすれば腐ってるんじゃないか?ってな臭気を発しているものだが、この漬物は東北の”しょっぱい懐かしい”漬物の味がした。涙が出た。

